本特集は、天皇陵古墳をめぐるさまざまな課題について、多角的な視点から考え、天皇陵古墳をめぐる現状について、わかりやすく理解できる構成となっています。
古墳時代研究における問題から、東アジアの古代陵墓制、中世から近世の陵墓と在地社会、近代の陵墓制度の確立まで、日本の歴史に密接なかかわりをもつ陵墓についてとりあげます。
そして、現在の宮内庁管理による陵墓制度と文化財としての天皇陵古墳についての現状と課題にせまります。
また、近年実施されている立ち入り調査についても、すべての立ち入りについてご紹介し、成果と課題を考えます。
今尾文昭(いまお ふみあき)
(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館学芸課長)
1955 年兵庫県生まれ。同志社大学文学部卒業。博士(文学)
『古墳文化の成立と社会』,『律令期陵墓の成立と都城』,『天皇陵古墳を考える』などの著書がある。
天皇陵古墳研究の今(今尾文昭)
天皇陵古墳の考古学
前・中期古墳の「治定」問題―市野山古墳と佐紀ヒシャゲ古墳を中心に―(坂 靖)
後・終末期古墳の「治定」問題(岸本直文)
律令国家と前方後円墳(広瀬和雄)
「記紀系譜」と古墳編年(仁藤敦史)
陵墓の立ち入り観察の成果と課題(森岡秀人)
中国北朝・朝鮮三国と古代日本
拓跋鮮卑の早期陵墓を探る
―内蒙古涼城県小壩子灘村から出土した拓跋猗イの金銀器を中心に―(蘇 哲)
朝鮮半島の陵墓制(門田誠一)
奈良・平安時代の陵墓(菱田哲郎)
中・近世の陵墓制
陵墓制の弛緩と開掘―檜隈大内陵(天武・持統陵)の中世―(今尾文昭)
鎌倉にある陵墓―護良親王墓とその周辺―(谷口 榮)
中・近世の在地社会と「陵墓」伝承(岡島永昌)
近・現代の陵墓制
陵墓制度の「近代化」―京都の資料から―(福島幸宏)
史跡/埋蔵文化財行政と現行陵墓制度(大久保徹也)
情報公開制度と陵墓(後藤 真)
天武・持統陵の発掘資料(柳沢伊佐男)
2013年に文化財として陵墓を考える(高木博志)
『天皇陵 踏み込んだ議論―保存と公開 道探る』
8/21 読売新聞奈良県版 朝刊