民衆への普及と地方における巡礼。
地方巡礼の開創は近世にはいると爆発的ともいえる流行になり、庶民の代表的な宗教習俗となった。
かれらを巡礼にかりたてるものは何か、また、そこから何が生まれてきたのか。
その問題を日本における具体的な事実に即して考察することこそが、世界的な広がりをもつ巡礼を理論するための最良の手掛かりになる。
第1篇 宗教行動としての巡礼(巡礼の構造;比較巡礼論の試み―巡礼コミュニタス論と四国遍路;巡礼の行者―その宗教的達成;まれびと、巡礼、ノーキョーさん)
第2篇 巡礼の民衆化(近世に於る地方霊場の発達―新西国と新四国;廻国巡礼と納経供養;民衆の旅―順礼供養塔からみた旅の教育・文化史的意義)
第3篇 地方巡礼の隆盛(小豆島における写し霊場の成立;若狭三十三所と一宮―中世後期若狭の寺院と荘園公領総社;能登国三十三観音巡礼;利根川下流域の新四国巡礼―いわゆる地方巡礼の理解に向けて)
第4篇 巡礼の構造および地方巡礼の研究成果と課題