日本の古代文化に道教がもたらしたものは何か?
道教は陰陽道・密教と深い関係をもっている。
本巻では、律令制を根幹とする時期の道教受容をめぐる諸問題を検討し、陰陽道・密教や民間信仰とも習合しながら発展した庚申信仰、修験道と道教との関連を考察することにより大陸文化を基調としながらも、日本的な変容をとげた古代文化の展開過程を探る。
第1部 律令制社会と道教(薬猟と『本草集注』―日本古代の民間道教の実態;日本古代における仏教と道教;古代日本に於ける仙人信仰について;日本古代の知識層と『老子』―「河上公注」の受容をめぐって)
第2部 陰陽道・密教と道教(陰陽道における道教の受容;覚鑁『五輪九字秘釈』の背景思想―道教・医学の両側面について;中国・日本の密教における道教的要素)
第3部 庚申信仰・修験道と道教(老子守庚申求長生経について;青面金剛と庚申信仰―道教文化の日本伝来の一形式;修験道と道教)