日本人の国民国家という意識は、維新を軸とする近代に至って形成された。
本書は、その日本人の自覚の誕生を、近代史という視点を通して明らかにするものである。
1 地域を場として(村落支配をめぐる宗教的権威の位相―出羽国田川郡黒川村の「一山衆」と村役人;慶応期江戸の都市騒擾;東北振興策としての山形県巡幸 ほか)
2 法と制度への眼(明治六年の太政官制潤飾と内史官;日本の台湾植民地支配と外地統治論―台湾総督の緊急律令制定権を例に;山県閥・官僚系・幸倶楽部 ほか)
3 生活者の世界(立憲帝政党と成島柳北―『朝野新聞』雑録との関連から;石田伝吉論―地方改良運動下の「自給伝道者」;骨化せざるための模索―1920年代の三宅雪嶺 ほか)