日本海に面する丹後地方では、ここ数年の発掘調査で傑出した副葬品を伴う弥生王墓が発見され注目を集めている。
さらに古墳時代にはいっても網野銚子山、神明山など200mを越す巨大古墳が誕生する。
水田をつくりうる広大な沖積平野がほとんどないこの地方にあって、どうしてこうした特色ある文化が栄えたのか?
この特集は「王」を輩出させた経済性についての再考を迫るものである。
弥生王墓と巨大古墳の特質-----広瀬和雄(奈良女子大学教授)
生産と流通
水晶玉製作と階層性-----河野一隆(京都府埋蔵文化財調査研究センター)
弥生時代の対外貿易と流通-----野島永(京都府埋蔵文化財調査研究センター)
生活の諸相
環濠集落の規模と構造-----加藤晴彦(加悦町教育委員会)
弥生大形墳墓出現前夜の土器様相-----高野陽子(京都府埋蔵文化財調査研究センター)
弥生墳墓の特質
弥生王墓の誕生-----肥後弘幸(京都府教育委員会)
弥生墳墓の構造と変遷-----石崎善久(京都府埋蔵文化財調査研究センター)
前方後円墳の時代
丹後の巨大古墳-----広瀬和雄
埴輪の成立と変遷-----佐藤晃一(加悦町町づくり推進室)
丹後の石棺-----和田晴吾(立命館大学教授)
横穴式石室の導入と展開-----細川康晴(京都府教育委員会)
内外の交流
中国鏡流入のメカニズムと北近畿の時代転換点-----福永伸哉(大阪大学助教授)
製鉄技術の導入-----大道和人(滋賀県文化財保護協会)