列島における東西文化交流の結節点として、地域的特色があった信濃諸地域の生活環境の特徴の同一性と差異、およびその歴史性について、古代から昭和までの時代の中に多面的にとらえ、考察する。
1 文化の流入と生活環境の変化(山野の開発と生活環境の変遷―筑摩東山窯跡群の検討を中心に;五・六世紀のシナノをめぐる諸問題について;室町期の代官請負契約と債務保証―山科家領信州五か荘での年貢収取の復活;西からの文物と近世信濃―伊那谷を中心に)
2 近代信濃と生活環境の変容(安曇平における生活環境と在郷町の変貌―安曇郡内小都市間競争の背景;近代学校教育における登山の隆盛とその意義―駒ヶ岳登山遭難事故を契機とした山岳との関わり;昭和恐慌下の信濃教育会と郷土教育運動)
3 地方史研究と生活環境をめぐる問題(近代における「信濃」に託されたイメージをめぐって;「日本発・環境史観」の提唱―21世紀の人類70億の平和共存のために)