720年(養老4年)に成立した『日本書紀』に於ける神祇祭祀と「聖」(儒教的徳治思想)をキーワードに、第一部では、崇神天皇から仁徳天皇に至る天皇紀を対象とし律令国家が如何なる天皇像と歴史像を構成したのかを大胆に推理し、第二部では、その歴史像を構成するのに重要な位置を占めたであろう、物部(石上)氏及び藤原(中臣)氏と関連深い石上、鹿島・香取神宮をはじめとする神祇伝承や氏族伝承を多角的に検証する。
松倉文比古 [マツクラフミヒコ] 1979年龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程課程履修につき退学。2001年龍谷大学文学部教授
第1部 『日本書紀』の天皇像と歴史認識(『記・紀』に描かれた崇神天皇像;垂仁天皇紀の構成と天皇像;景行天皇紀の構成―熊襲・九州親征記事を中心として;仲哀天皇紀の構成と天皇像―「日本」という領域観念;仁徳天皇紀の構成;「御宇帝皇」と世界―仁徳即位前紀と皇后・氷室・易名・鷹甘部)
第2部 神社と神祇伝承(石上社の神宝管治と物部連・物部首氏;国譲りと鹿島・香取・倭文神;鹿島・香取神について―『常陸國風土記』を中心として;『記・紀』に描かれた藤原(中臣)氏)