日向・薩摩・大隅を結ぶ都城の地域特性を「境界性」と表現し、南九州の歴史的展開を検討する。
1 地域形成にみる境界性(閉塞方法からみた地下式横穴墓の類型化と地域色;古代の日向・大隅・薩摩三国の位相―隼人とその支配をめぐって;物の動きから見た都城盆地の境界性―古代後半期の陶磁器類を中心として ほか)
2 島津氏の動向と歴史意識(境界の政治学―庄内の乱から都城県へ;南北朝期島津奥州家の日向国進出―その過程と歴史的意義;薩摩藩の家格・役格整備と藩政文書の書式統一―島津吉貴藩政期を中心に ほか)
3 地域統合と境界性の変容(明治期の行政史料と地域社会―宮崎県庁文書を中心に;「小藩分立」から地域統合へ―幕末維新期における日向諸藩;日露戦後の地方政治における「地域意識」創出の試み―大正期有吉忠一知事の施策から ほか)