猪などによる被害は近世に入ると飢饉を起こすほどに深刻であった!当時の人々が農作物を守るためにとった猪害対策を文献などからたどり、近世から現代に続く猪と人との関係を考える。
新津健 [ニイツタケシ] 1949年、山梨県に生まれる。上智大学大学院文学研究科修士課程修了。山梨県立考古博物館副館長、山梨県埋蔵文化財センター所長を歴任。現在は山梨県教育庁学術文化財課非常勤嘱託。専攻は考古学
はじめに―古典からみる猪害のはじまり
第1章 猪との闘い―近世農民と猪(猪殱滅―対馬藩の例;八戸藩の猪飢饉)
第2章 甲斐国における猪害と対策―鉄砲・番小屋・狼札(村明細帳にみる猪害などと防除の事例;鉄砲の活用;番小屋での追い払い;狼札に託した願い)
第3章 猪害対策の極み―猪垣(文献に残る猪垣の記録;現地確認できた猪垣;富士山麓樹海の石積み―八代郡本栖村の石列)
第4章 人と猪のかかわり―近世から現代、そして未来へ(江戸時代の村夫銭帳からわかる獣害対策費の重さ;猪害増減のサイクル―時期や地域による害の違い;猪害の現状と要因;共存を求めて―まとめとこれからのかかわり)