時間情報から考古学を考える。
時間という概念を、季節性や人間行動の規則性、人体の発育過程と病理、行為や文化現象の時間的単位性など、複数のキーワードに変換し、考古資料から取り出すことの出来る「過去」の時間情報の性質を考察する。
阿部芳郎 [アベヨシロウ] 1959年生。明治大学文学部教授。明治大学日本先史文化研究所所長
序章 人類史の復元と時間情報
第1章 理化学的な時間情報と年代測定―炭素年代と考古学(AMS年代測定の方法;AMS年代測定の諸問題)
第2章 考古学と古病理学―人体形成の時間性と古病理(古病理学的に見た縄文人;古病理学的所見から見た縄文後期における埋葬の一様相―福岡県山鹿貝塚出土人骨を中心として)
第3章 動物遺存体と時間情報―資源利用の季節性と物質変容(持ち運ばれた海の資源―印旛沼南岸地域における鹹水産貝塚の出現背景;貝類の流通からみた縄文時代の社会関係―オキアサリの成長線分析の試み ほか)
第4章 行為の時間情報―遺跡形成における時間性と単位性(移動生活に組み込まれた石材交換―「砂川類型」に見る旧石器時代の移動システム;縄文後期の集落と土器塚―「遠部台型土器塚」の形成と加曽利B式期の地域社会 ほか)