認知考古学に関連する論考をまとめ、その可能性と課題を考える。
ホモ・サピエンスの普遍的認知についての知見など、進化心理学や神経科学といった他分野の研究成果も取り上げ認知考古学の可能性を見据えるとともに、物である考古資料から人間の思考や心理にせまる、最新の研究成果を紹介する。
松木 武彦(まつぎ たけひこ)
(岡山大学大学院社会文化科学研究科教授)
1961 年愛媛県生まれ。
大阪大学大学院博士後期課程単位取得退学,博士(文学)。
主な著書に、
『日本列島の戦争と初期国家形成』(東京大学出版会), 『列島創世記』(小学館),
『進化考古学の大冒険』(新潮社), 『古墳とはなにか』(角川学芸出版)など。
〔総論〕認知考古学の課題と方法(松木武彦)
〔方法と理論〕認知進化と人工物(松本直子)
モノの形と社会の形(桜井準也)
人工物から個人にせまる(中園 聡・平川ひろみ)
人工物から読むコミュニケーションと社会(溝口孝司)
絵画から説く先史の思考(設楽博己)
〔実践例〕石器から読む狩人の心〔田村 隆〕
先史文化の空間認識(津村宏臣)
縄文時代の空間認知と社会―大湯環状列石の分析―(中村 大)
縄文の思想,大陸の思想,弥生の思想(小林青樹)
黄泉国と高天原の成立過程(北條芳隆)
人物埴輪から探る古墳時代の思想と社会(光本 順)
古墳壁画の物語を解く(柳沢一男)
銅板とポトラッチ(春成秀爾)
〔展望〕人類進化と物質文化―考古学と進化人類学―(小田 亮)
美の考古学の可能性―考古学と神経科学―(川畑秀明)
考古学者の認知を問う(時津裕子)
認知考古学,その課題と展望(安斎正人)
〔最近の発掘から〕古墳時代終末期最大級の方墳―千葉県栄町岩屋古墳―(仲村元宏)
井伊直弼墓の構造―東京都豪徳寺井伊家墓所―(寺田良喜)