白川静の「文字学」と林巳奈夫の「紋様学」をもとに、古代世界の復原を試みる気鋭の新論考
漢字の姿となって残された「古代の入れ墨」の真実。『魏志倭人伝』にみる東夷の文身と殷王朝の神々との深い繋がりが浮かび上がる。
提唱する「横断性図像学」の方法から、古代中国の「神徽文身」文化を解明した歴史学・漢字学・考古学・饕餮文の研究書。
桐生眞輔(きりゅうしんすけ)
1978年 京都府生まれ。
奈良教育大学 教育学部 総合文化科学課程 書法芸術専修卒業
奈良教育大学大学院 教育学研究科 美術教育専攻 書道コース修了
東京芸術大学大学院 美術研究科 美術専攻 先端芸術表現科 修了
東京芸術大学大学院 博士課程 美術研究科 美術専攻 先端芸術表現領域修了 博士(美術)
現在、京都芸術大学 文明哲学研究所 特別研究員
著書に、2020年『文身』赤々舎、2019年『文身 デザインされた聖のかたち』ミネルヴァ書房がある。
第1章 東夷・龍と文身―文献が語る古代文身の世界―
身への文/「黥の文身」と「点の文身」二つの文身起源説/東夷・龍の文身
第2章 殷王朝の文身と龍のトーテミズム―文字学と紋様学が明らかにする古代の身体―
横断性図像学からみる古代世界/夏王朝と禹―蛇のトーテミズム―/「虫」概念の成立で明らかになる古代の世界観
第3章 文字学と文身説―理解へ向けての基礎知識―
「文」の文身説/「文」の字説について/「心」の字説について
第4章 饕餮文と「心」の文身
神を標す記号―「心」と図象記号―/「饕餮文」と「心」字形の構造/「心」字に潜む龍のトーテミズム/文を釋く―『説文解字』と許慎の誤り―
第5章 文身された聖のかたち
饕餮文の文身―殷代にみる神徽文身―/解き明かされた東夷文身の起源/デザインされた神々の身体
第6章 もう一つの文身「辛」―饕餮文に隠されたルビンの壺―
聖穢逆転、「辛」という聖符/龍を意味する「辛」/饕餮文に表現される「辛」の図像/「辛」字形と古代の神々/横断性図像学が明らかにした饕餮文の構造/聖なる「辛」の身体
参考文献/資 料…古代神徽系統図/饕餮文構造 補図/「文」字―字解集―/「文」字―字書―