第82代『国造』の宮司が明かす古代出雲と出雲大社の謎!
1968年の初版以来、増補を重ねてきた出雲大社のすべてがわかる名著が内容はそのままにより読みやすくなった〈新版〉として復刊。
巻末には最新の令和7年版「出雲大社祭日表」を掲載した。
千家尊統(せんげたかむね)
第八十二代出雲国造。明治十八年に島根県大社町に生れ、幼名を福磨といい、学習院高等科を経て國學院大學史学科に学ぶ。明治四十四年に出雲大社宮司を襲職し、尊統と改名す。昭和二十二年に尊祀に職を譲る。出雲大社教の三代総裁にも就き、出雲信仰の宣布に尽し、昭和十三年に大社國學館を創設して神道人の養成に努む。特に民俗学に興味を持ち『大梁灰人一家言』の著書がある。昭和四十三年十一月二十三日薨去。
1 出雲の大社
出雲の初春/大社という社号/小泉八雲の参拝/八雲たつ出雲/アイヌ語説/白鳥庫吉博士の説/霊魂と雲
2 八岐の大蛇とスサノオノミコト
山陰の旅/斐伊川/河道の変遷/八岐の大蛇/稲田姫/生の根元的不安/神の出現/ 高天原からの追放/神聖性の冒瀆/天つ罪/花まつり/つつしみ/スサノオノミコトの成婚/水の霊威
3 宝剣の出現と出雲大社
天叢雲剣/蛇と剣/国譲神話の原型/神剣勅望の綸旨/二つの『伯耆巻』
4 スサノオノミコトと大国主神
大社の祭神/大国主神の神統譜/志の継承/大物主神
5 出雲創世神話の世界
黄金の弓箭/国引き/祈年祭祝詞/巨大性への志向/国生み神話/巨人神話/出雲神話と高天原神話/出雲神話の即事性
6 二つの古代出雲勢力圏
出雲は新墾/スサノオノミコトの勢力圏/意宇の平野/熊野大社/佐太神社/古代出雲の宗教
7 大国主神の聖婚
出雲の穀倉地帯/大国主神の異称/神婚伝承/八千矛神の唱和歌/古代の神事劇
8 出雲大社のまつり
神有月/神在祭/御忌祭/竜蛇さま/大社神座の向き/寄木の造営/神々が集るということ/戌亥の方角/身逃神事(神幸祭)/他家に赴いての斎戒/爪剝祭/大社の御神体/注連縄
9 古式のこる御本殿
杵築の大社/やしろ/屋代/神の宮/大社の境内/雲に入る千木/社殿の造営/『口遊』の大屋の誦/大社社伝の論争/金輪の造営/寂蓮のおどろき/鎌倉時代の大社の建築/大社造/雲の絵/本殿の復原と水上生活/気多神社/[補記] 巨大柱の出現
10 境内と境外の社たち
摂社と末社/拝殿/東西十九社/真菰の神事/福迎え/山根通りと仮の宮/庁の舎/ 大社の神仏分離/神楽殿
11 出雲の国造
国造/出雲国造/出雲国造の居住地/出雲の古代遺跡/〝熊野〟の語義/熊野の神から杵築の神へ/国造の杵築移転/大社の受難時代/千家と北島/千家家の受持月/寛文の造営
12 神火の相続―火継式
火と霊/火嗣ぎ/霊魂の継承/霊継ぎ/素足で入るお火どころ/国造の補任/国造家の神紋/御杖代
13 注目すべき古伝新嘗祭
新嘗祭/亀太夫神事/悪態祭/古伝新嘗祭の次第/釜の神事
14 出雲国造神賀詞
一年間の潔斎/神賀詞/ヨゴト/出雲の玉作/神賀詞の奏上/「神」賀詞/皇居からの方位/神宝の検校/献上する神宝/出雲と宗像/前斎と後斎/天穂日命の事績/出雲国造家の精神
15 出雲大社教
出雲御師の活勧/御師/願開き船/千家尊福/出雲大社教の教理/祭神論/出雲大社教の特立/戦後の大社と教団
付 出雲大社祭日表
