昭和10年代文学への真摯な眼差し、著者積年の考察による、待望の論集。
〈転向〉の時代から〈戦時〉へ、懊悩し、苦闘する作家群像。その精神ドキュメントを追う。
〈著者略歴〉
佐藤 義雄(さとう よしお)
東京教育大学大学院修了。 明治大学文学部教授。
著書:『文学の風景 都市の風景』(蒼丘書林 2010)。
共編著:『近代への架橋 明治前期の文学と思想をめぐって』(蒼丘書林 2007)・『文芸と言語メディア』(蒼丘書林 2005)・『都市空間を歩く』第1・2 輯(明治大学リバティアカデミー 2005・2007)・『ことばの織物』第1・2 集(蒼丘書林 1990・1998)・『国語教材研究 小説』(桜楓社 1982)ほか。
序章 一九四〇池袋 ―小熊秀雄と中野重治―
第Ⅰ部 プロレタリア文学の行方
第一章 三好十郎『斬られの仙太』の周辺/第二章 転向文学の構造― 「白夜」と「村の家」―/第三章 丈高い青春― 中野重治『歌のわかれ』―/第四章 本多秋五『転向文学論』
第Ⅱ部 島木健作
第一章 初期短編小説/第二章 『生活の探求』の思想/第三章 晩年への歩み
第Ⅲ部 井伏鱒二と太宰治
第一章 飛翔する大鷲― 井伏鱒二戦中下の〈社会〉―/第二章 「なつかしき現実」― 井伏文学一九四〇年前後―/第三章 井伏鱒二 漂流者の理想/第四章 醞醸された別個の物語― 太宰治「お伽草紙」をめぐって―/第五章「わたくしのさいかく」― 太宰治「吉野山」―
終章一九四〇堀辰雄――古典受容の位相――