捕鯨条約脱退、商業捕鯨再開――。
日本のくじら文化を網羅し好評を得た初版に、国際捕鯨条約からの脱退にいたる経緯、また捕鯨をめぐる最新の情勢を30 ページ超にわたり大幅加筆!
今年、新たな局面を迎えることとなった「日本人」と「くじら」を紐解く一冊。
日本の捕鯨について、多角的に解説!
・日本の南氷洋への進出と戦前の南氷洋での捕鯨を規制した国際捕鯨取締協定の成り立ちと意味づけにも言及しながら、それが戦後の1949年に締結された国際捕鯨取締条約に行きついた状況。
・脱退の判断の理由、反捕鯨国が商業捕鯨モラトリアム(一時停止)の見直しを反故にしてきた状況と口実。
・一方で、歴代の日本政府のIWC代表団が、その撤廃に向けていかに真摯に努力してきたかについて。
・今回の脱退劇、その意味するものと今後の展望。
小松正之(こまつ まさゆき)
<著者略歴>
1953年岩手県生まれ。東京財団上席研究員、一般社団法人生態系総合研究所代表理事、アジア成長研究所客員教授。
1984年米エール大学経営学大学院卒。経営学修士(MBA)、2004 年東京大学農学博士号取得。
1977年農林水産省に入省し水産庁に配属。資源管理部参事官、漁場資源課課長等、政策研究大学院大学教授を歴任。国際捕鯨委員会、ワシントン条約、国連食糧農業機関(FAO)などの国際会議、米国司法省行政裁判や国際海洋法裁判所、国連海洋法仲裁裁判所の裁判に出席し、日本のタフ・ネゴシエーターとして世界的に名を馳せた。FAO 水産委員会議長、インド洋マグロ委員会議長、在イタリア日本大使館一等書記官、内閣府規制改革委員会専門委員を務める。2017年9月から日本経済調査協議会「第2次水産業改革委員会」主査を務める。
<著書>
『国際マグロ裁判』(岩波新書)、『海は誰のものか』『国際裁判で敗訴!日本の捕鯨外交』『これから食えなくなる魚』(幻冬舎刊)、『日本人の弱点』(IDP 出版刊)、『世界と日本の漁業管理』(成山堂刊)、『築地から豊洲へ』(マガジンランド刊)、『宮本常一とクジラ』『豊かな東京湾』『東京湾再生計画』(雄山閣刊)、『森川海と人』(一般社団法人生態系総合研究所)(共著)など多数。
2003年 ブリタニカ国際年鑑2003「人間の記録・世界の50人」に選出。
2005年 米ニューズ・ウィーク誌(日本版)「世界が尊敬する日本人100人」の2番に選ばれる。
2011年 『世界クジラ戦争』(PHP刊)が「第2回国際理解促進優良図書 最優秀賞』を受賞。
はじめに
序章 ―日本を取り巻く捕鯨環境―
―国際捕鯨委員会の歴史と国際司法裁判所の敗訴後から脱退まで―
くじら年表
くじら探訪 西日本編
長崎・五島(大村・福江)/肥前(佐賀)/長州(山口)/伊予(愛媛)・豊後(大分)/琉球(沖縄)
くじら食探訪
元祖くじらや(新潟)/くらさき(長崎)
コラム
対談 捕鯨とかくれキリシタン
小松正之(東京財団上席研究員)× 中園成生氏(平戸市生月町博物館「島の館」学芸員)
インタビュー① くじらは長崎のいのち
日野浩二氏(株式会社日野商店 会長)
インタビュー② くじらに特化し国内トップへ
本田 司氏(株式会社マルホ 代表取締役社長)
インタビュー③ この味を残したい、伝えたい
大西 陸子氏(鯨料理 徳家 女将)
座談会 くじらを語る―河野良輔先生を偲んで
小松 正之 (東京財団上席研究員) 松林 正俊氏(元長門市長) 新庄 貞嗣氏(萩焼 新庄助右衛門 一四代) 藤井 文則氏(長門市教育委員会 文化財保護指導員)
くじら探訪 東日本編
蝦夷(北海道)/陸奥(青森)/陸中(岩手)/陸前(岩手・宮城)/越後(新潟)
金沢/能登・加賀・越中(石川・富山)/常陸(茨城)/伊豆(静岡)
あとがき