映画のみならず演劇・文学にも視野を拡げ、《幕末》映画と《股旅》映画の相関性の分析から近代日本の文化史的核心を探求した画期的な日本映画/文化史論。
羽鳥 隆英(はとり・たかふさ)
1982 年、千葉県生れ。国際基督教大学教養学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程、博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。京都大学非常勤講師。
序 章 二組の母子の絆 長谷川伸『瞼の母』と『相楽総三とその同志
第一章 恨みは長し六〇年 昭和初年の幕末映画を巡るメロドラマ的想像力
第二章 生れ故郷の『沓掛小唄』 股旅映画の誕生と一九二九年の日本映画史
第三章 箱詰された孤独 稲垣浩と一五年戦争下の幕末映画の時間構造
第四章 運命《線》上に踊る女と男 マキノ雅弘『いれずみ半太郎』分析
第五章 進行相の結論 山田洋次の海坂藩三部作と幕末映画の二一世紀