古代の仏教工芸品を対象に、様式論に基づく比較研究によって、製作年代あるいは製作地等を明らかにし、その歴史的背景にせまる。
東京国立博物館所蔵木製舎利容器や、国宝法隆寺献納宝物灌頂幡、中尊寺金色堂須弥壇などを取り上げる。
著者紹介
加島 勝(かしま まさる)
1956 年 新潟県生まれ。
1979 年 筑波大学芸術専門学群芸術学専攻卒業。
1982 年 筑波大学大学院博士課程芸術学研究科中退。
町田市立博物館学芸員、東京国立博物館法隆寺宝物室主任研究官などを経て、現在、大正大学文学部歴史学科教授。博士(文学)。東京国立博物館名誉館員。
仏教工芸史専攻。
<主要論文・著書>
「百済観音の装飾金具について―臂釧・腕釧に関する新知見を中心に―」(『仏教芸術』243 号)
「中尊寺金色堂須弥壇の現状と明治の模写図」(『東京国立博物館紀要』30 号)
『日本美術全集 第2 巻 飛鳥・奈良時代Ⅰ 法隆寺と奈良の寺院』(共著)小学館
『柄香炉と水瓶』(『日本の美術』540 号)ぎょうせい
など。
【本文篇】
序 説
第一章 仏舎利の荘厳
第一節 中国・シルクロードの舎利容器
第二節 隋時代の舎利容器
第二章 法隆寺献納宝物灌頂幡に関する考察
第一節 仏幡の役割―灌頂幡の二つの性格―
第二節 灌頂幡の坪堺金具と百済観音の装飾金具
第三節 法隆寺献納宝物灌頂幡の模造品製作と新たに得られた知見
第三章 香供養具に関する考察
第一節 正倉院宝物の鵲尾形柄香炉
第二節 法隆寺献納宝物鵲尾形柄香炉の製作地・製作年代の再検討
第三節 獅子鎮柄香炉と瓶鎮柄香炉
付説一 蓮華形柄香炉
付説二 正倉院宝物赤銅合子丙について―柄香炉と塔鋺―
第四章 飲食供養具に関する考察
第一節 浄瓶と胡瓶
第二節 ペガサスの尾から見た竜首水瓶の製作年代
第三節 長頸瓶―棗形水瓶と柘榴形水瓶―
第五章 法隆寺献納宝物海磯鏡の製作地
第六章 古代の金工技法
第一節 複連点文技法と法隆寺再建期の美術
第二節 華原磬の獅子と竜
第七章 上東門院彰子埋納の金銀鍍宝相華唐草文経箱をめぐる二、三の問題
第八章 中尊寺金色堂須弥壇の現状と明治の模写図
第九章 法隆寺献納宝物舎利塔の修理と新発見の墨書銘
結 語
【図表篇】