「芸能と芸道」が根幹を成す日本の伝統文化。
その独自性と普遍性を、第一線で活躍する専門家が実演をまじえて解説する、好評の公開連続講座、待望の書籍化。
上巻のテーマは「アジアの視点」。
海の彼方から列島にうち寄せた芸能の波は、日本の芸能にどのような影響を与えたのか。
”体験する芸能史”ここに開講!
田口 章子(たぐち あきこ)
京都造形芸術大学教授。文学博士(学習院大学)。
『江戸時代の歌舞伎役者』で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
研究テーマは歌舞伎を中心とした伝統芸能、芸能・芸道をキーワードに日本文化論を展開。伝統芸能公演の企画にも携わる。
【主な著書】
『ミーハー歌舞伎』(東京書籍 1996 年)、『江戸時代の歌舞伎役者』(雄山閣出版1998 年 のち中公文庫)、『おんな忠臣蔵』(ちくま新書 1998 年)、『東海道四谷怪談』〈二十一世紀によむ日本の古典〉)(ポプラ社 2002 年)、『歌舞伎と人形浄瑠璃』(吉川弘文館 2004 年)、『二代目市川団十郎 役者の氏神』(ミネルヴァ書房 2005 年)、『歌舞伎から江戸を読み直す 恥と情』(吉川弘文館 2011 年)、『八代目坂東三津五郎 空前絶後の人』(ミネルヴァ書房 2013 年)
【主な編著】
『元禄上方歌舞伎復元―初代坂田藤十郎幻の舞台』(勉誠出版 2009 年)、『今尾哲也先生と読む「芸十夜」』(雄山閣 2010 年)、『京都のくるわ―生命を更新する祭りの場』(新典社 2012 年)
はじめに〈田口章子〉
イントロダクション
アジアの視点で見えてくる〈諏訪春雄〉
《1》寛容な日本人 ~排除しないで融合する文化~
(1)ルーツを探る
①方相氏〈講師:赤木尊文〉〈実演:平安神宮〉
②獅子舞~獅子の呪力~
【鳳山タルチュムの獅子舞】〈講師:崔昌柱〉〈実演:孫炳萬ほか三名〉
【別所西獅子舞】〈講師:後藤邦玄〉〈実演:別所西獅子舞保存会〉
③語り物―パンソリと説経浄瑠璃
【パンソリ】〈講師/実演:安淑善〉
【説経浄瑠璃】〈講師/実演:若松若太夫〉
④民俗芸能―農楽と田囃子
【農楽】〈講師:朴実〉〈実演:ハンマダン〉
【田囃子】〈講師/実演:篠平和義ほか上今明田ばやし保存会会員〉
⑤朝鮮通信使と唐人踊り~日韓(日朝)の交流~
【朝鮮通信使と芸能】〈講師:仲尾宏〉
【唐人踊り】〈講師:和田佐喜男〉〈実演:唐人踊り保存会〉
(2)音は伝える
①和琴〈講師:木戸敏郎〉〈実演:平安雅楽会〉
②伽耶琴〈講師/実演:金海淑〉
③箏〈講師:大木冨志〉〈実演:京都當道会〉
④胡弓と二胡〈講師:茂手木潔子〉〈実演:木場大輔・鳴尾牧子〉
⑤三線〈講師:茂木仁史・西江喜春〉〈実演:西江喜春〉
⑥三味線〈講師:常磐津都㐂蔵〉〈実演:常磐津都㐂蔵・常磐津都史〉
(3)身体は伝える
①インド舞踊―バラタナティヤム〈講師:石井達朗〉〈実演:横田ゆうわ〉
②韓国―サルプリ舞〈講師/実演:梁性玉〉
③琉球―琉球舞踊〈講師:茂木仁史・宮城能鳳〉〈実演:宮城能鳳・西江喜春・山川雅之〉
④日本―京舞〈講師/実演:井上八千代〉
《2》日本文化の誕生
(1)伝統文化の始まり
①闘茶〈講師:筒井紘一〉〈実演:麹谷宏・六志会〉
②華道〈講師/実演:池坊由紀〉
③絵解き〈講師:林雅彦〉
(2)日本文化の成熟
①聲明〈講師:木戸敏郎・即真尊龗〉〈実演:天台宗総本山比叡山延暦寺法儀音律研究部〉
②文弥人形〈講師:道下甚一〉〈実演:東二口文弥人形浄瑠璃保存会〉
③人形浄瑠璃〈講師:森谷裕美子〉
《3》東西に咲いた文化
(1)上方文化
①和舞〈講師:木戸敏郎・笠置侃一〉〈実演:春日大社南都楽所〉
②東遊び〈講師:木戸敏郎〉〈実演:平安雅楽会〉
③舞楽〈講師:小野功龍・木戸敏郎〉〈実演:天王寺楽所雅亮会〉
④能 狂言〈講師:諏訪春雄〉
⑤上方舞〈講師/実演:山村若〉
(2)江戸文化
①歌舞伎〈講師:田口章子〉
②歌舞伎舞踊〈講師/実演:坂東温子〉
③歌舞伎舞踊の大道具〈講師:中田節〉
④長唄〈講師:今藤政太郎〉〈実演:今藤政太郎・今藤政貴〉
⑤清元〈講師/実演:清元清寿太夫〉
《付篇》「日本芸能史」公開連続講座 開講記録