「日本書紀」の編纂を豪族の視点から考察した第一部。中央豪族と地方豪族、そして国政との関係について、従来の視点に一石を投じる第二部。著者が長年にわたって取り組んできた渡来人研究を発展させた第三部。
加藤謙吉の集大成にして新たなる一歩、ここに完成!
〈著者略歴〉
加藤 謙吉(かとう・けんきち)
1948 年 三重県に生まれる
1976 年 早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
2001 年 博士(文学)(早稲田大学)
現在 成城大学・中央大学兼任講師
著書 『蘇我氏と大和王権』(吉川弘文館、1983 年)
『大和政権と古代氏族』(吉川弘文館、1991 年)
『秦氏とその民』(白水社、1998 年)
『難波吉士と西漢氏』(白水社、2001 年)
『大和の豪族と渡来人』(吉川弘文館、2002 年)
『大和政権とフミヒト制』(吉川弘文館、2002 年)
『ワニ氏の研究』(雄山閣、2013 年)
『渡来氏族の謎』(祥伝社、2017 年)
第1部 『日本書紀』の成立とその編纂者
第1章 『日本書紀』とその原資料─七世紀の編纂事業を中心として─
はじめに
第1節 「帝紀及び上古諸事」の記定事業
第2節 墓記の上進と撰善言司の設置
第3節 百済三書の成立とその性格
第2章 『日本書紀』と渡来人
はじめに
第1節 養老五年の進講と『日本書紀』の撰者
第2節 フミヒト系の『日本書紀』撰者
むすびにかえて
第3章 『日本書紀』と壬申の乱─壬申紀の述作者をめぐって─
第1節 壬申紀の記事の偏向性
第2節 壬申紀の述作者
むすびにかえて
第2部 中央・地方の豪族と大和政権
第1章 地方豪族の中央出仕形態と両貫制
はじめに
第1節 天武朝の朝臣賜姓と地方豪族
第2節 下道氏と両貫制
第3節 京畿を本貫とする地方出身氏族の実態
第4節 ウヂの成立と地方氏族の出仕形態の変化
むすびにかえて
第2章 古代対外交渉と紀ノ川の水運─紀路・紀ノ川周辺地域の豪族層の交流とその活動形態─
第1節 紀ノ川の景観
第2節 葛城道・巨勢道沿道の豪族とその動向
第3節 紀路・紀ノ川沿いの豪族とその動向
むすびにかえて
第3章 中臣氏の氏族組織と常磐流中臣氏─中臣と卜部─
はじめに
第1節 常磐流中臣氏の実態とその発展過程
第2節 中央祭祀機構の形成と「中臣」職の成立
むすびにかえて
第4章 御食供進のトモの組織の構造
第1節 御食供進のトモの組織とその後身官司
第2節 御食供進のトモの組織の構造
むすびにかえて
付論 磐鹿六鴈命の伝承
第5章 讃岐の国造勢力と因支首─『和気系図』の解釈をめぐって─
はじめに
第1節 凡直国造の性格
第2節 讃岐国造の諸系統
第3節 因支首の実態
第4節 因支首と佐伯直
第6章 尾張氏・尾張国造と尾張地域の豪族
第1節 尾張氏の氏族的構造
第2節 尾張氏中核勢力の実態とその故地
第3節 尾張国の他の在地首長
第4節 尾張氏の中央進出
むすびにかえて
第3部 七・八世紀における渡来人の活動
第1章 初期の藤原氏と渡来人の交流
はじめに
第1節 鎌足と渡来人
第2節 不比等・県犬養三千代と渡来人
第3節 武智麻呂・仲麻呂と渡来人
むすびにかえて
第2章 古志史とコシ国─『日本霊異記』中巻七の解釈をめぐって─
第1節 問題の所在
第2節 フミヒトの地方派遣
第3節 コシ国と古志史の関係
第4節 古志史の変転
むすびにかえて
第3章 四天王寺と難波吉士
第1節 四天王寺の創建年代
第2節 難波吉士と四天王寺創建の経緯
第4章 高麗若光と高麗福信
第1節 高麗若光の実像
第2節 東国の高句麗系渡来人
第3節 肖奈公から肖奈王へ
第4節 行文・福信と肖奈氏
あとがき