驚きと発見の展示に人は集まる。
コレクションと学芸員に出会う、地域のふれあいの場になるための博物館展示の理念とその具体例。
「展示が変われば、博物館は変わる‼」
青木 豊(あおき ゆたか)
1951年 和歌山県橋本市生まれ。
國學院大學文学部史学科考古学専攻卒業。
現在 國學院大學文学部教授 博士(歴史学)
主な著書 『博物館技術学』『博物館映像展示論』『博物館展示の研究』『集客力を高める 博物館展示論』(以上単著)、『史跡整備と博物館』『明治期 博物館学基本文献集成』『人文系博物館資料論』『人文系博物館資料保存論』『人文系博物館展示論』『神社博物館事典』『棚橋源太郎 博物館学基本文献集成』上・下(以上編著)、『博物館人物史』㊤・㊦、『大正・昭和前期 博物館学基本文献集成』上・下、『博物館学史研究事典』(以上共編著)、『博物館ハンドブック』『新版博物館学講座1 博物館学概論』『新版博物館学講座5 博物館資料論』『新版博物館学講座9 博物館展示論』『新版博物館学講座12 博物館経営論』『日本基層文化論叢』『博物館危機の時代』(以上共著)、以上雄山閣『和鏡の文化史』(単著、刀水書房)、『柄鏡大鑑』(共編著、ジャパン通信社)、『博物館学Ⅰ』(共著、学文社)、『新編博物館概論』(共著、同成社)、『地域を活かす遺跡と博物館―遺跡博物館のいま―』(共編、同成社)、『観光資源としての博物館』(共編、芙蓉書房)他論文多数
はじめに
第1章 展示の概念
展示の原則― 広義の展示―
自然界の展示― 植物が行う展示―
動物界の展示
人間社会の展示行為
わが国最初の完成された展示
展示施設のはじまり
料理と博物館展示
第2章 博物館展示論史
博物館展示の命題
明治時代中期の展示論
仏英留学地での博物館学思想の発露/坪井正五郎の展示技術論/坪井正五郎が実施した展示
博物館における展示とは
展示コミュニケーション論/博物館展示の分類
第3章 集客力のある博物館の基本要素
もてなしの心の必要性
奇をてらう心の必要性
博物館の外観と歴史的建造物の利用
可変性のある常設展示
正確な情報と作法(伝統的展示法)展示の必要性
参加型博物館―博物館の存在と内容のアピール―
マニフェスト
博物館の広報/博物館見学者から展示批評者へ
学芸員の配置
学芸員の社会的地位の向上と外部資金の獲得/利用者と学芸員が求める館長
資料・コレクションは博物館の骨格
入館料の無料化―博物館最大のバリア―
招待券・無料パスポートの発行/無料駐車場の設営
地域文化の核としての“ 道の駅”を持つ有利性と博物館
道の駅の設立目的とその概念/郷土博物館との共通理念/博物館の有利性
博物館の教育活動
博学連携の目的/スクールミュージアム
博物館疲労(鑑賞疲労)の抑制
展示室の床材の必要要件/回廊・回遊式展示室
リピートを高める展示室の面積
展示室の面積増加に伴う滞留時間の延長とリピート客の誘引/収蔵庫の必要面積/展示室もまた収蔵庫である/博物館以外での保管場所
自然光の取り入れ
無窓空間の出現と光量減の理由/光が劣化因子となる資料の材質/眼精疲労を発生する見づらい照明/自然光の展示上の効用/天井光の必要性
野外部と野外展示の必要性
野外での植物展示の必要性
左回り動線
規制動線の必要性/動線両側の展示の禁止
ボランティアについて
第4章 集客力を高める博物館展示の具体
1 展示の基本形態
提示と説示―提示は博物館展示ではない―
二元展示(Dual arrangement)の必要性と二重展示(Double arrangement)
概説展示と子ども用展示・子ども博物館
基本的展示法
①時間軸展示/変遷展示/②比較展示/③組み合わせ展示/参加型展示―受動態から能動態へ―/蔵のぞき・整理室のぞき/究極の参加型展示―韓国西大門刑務所歴史博物館の事例―/動態展示と動感展示/静止展示と動感・動態展示/時を止める人形
総合展示の必要性
水族館での総合展示
集客と博物館参加を意図する特別展示
姉妹都市・友好都市の紹介展示/居開帳―蔵出し展示―/夏休み中の夜の博物館
展示における資料の環境・背景の必要性
本来あるべき位置・姿での展示
2 展示の具体
床下は展示ケースである
ミュージアム・ワークシート
博物館検定
資料に適合したケースの必要性―料理は器できまる―
ケース内展示と露出展示とガラスバリア展示
展示は演示具できまる
鏡の応用
美術館・博物館での「展示図録」の貸し出し 図書の展示
「展示品図録」ではなく「展示図録」の必要性
休憩所の必要性と休憩所での展示
トイレでの展示
パネルの種類と情報の持ち帰り
構造展示・集合展示における題簽の不都合/外国語併記の必要性/漫画による注意の喚起
写真撮影―スポットポイントの必要性―
不必要な集団展示
入館記念スタンプの必要と要件
展示の延長としてのミュージアム・ショップ
ミュージアム・ショップ商品の必要条件
博物館および関係施設等での資料意匠の活用
3 集客力を高める二次資料の活用
説示型展示に不可欠な二次資料
レプリカ(型取り模造)展示について
レプリカ(型取り模造)の特質/①資料保存を目的とするレプリカ/②臨場感創出のためのレプリカ展示/③勢いのある模型・生活感のある模型/④完成された臨場感に富む模型、ジオラマ
構造展示と映像― 映像機の設置場所―
映像展示機器の陳腐化と記録映像の制作
展示メディアとしてのパーソナル情報端末
破片や部品のみ展示の禁止
復元図・模式図・想像図の必要性
年表展示の必要性
結 語
あとがき