「学芸員はガン」なのか!?
2017年、山本幸三元地方創成担当大臣の「学芸員はがん。一掃しないと」 発言に批判が相次いだ。
その後、発言は撤回されたものの、その背景で「文化財で稼ぐ」という、政府の観光政策が進められている。
文化財で稼ぐとはどういうことなのか。文化財を守り、その価値を未来へ伝えていくためにどうすればよいのか。政府の施策を紐解き、学芸員の厳しい環境や課題に向き合い、博物館再生への道を模索する――
序章 博物館が危ない
1 山本幸三地方創生担当大臣発言と背景(辻 秀人)/2 日本の博物館は成功してきたか(辻 秀人)
第1章 博物館が直面する諸問題
1 社会における学芸員の認識(青木 豊)/2 日本学術会議提言「21世紀博物館・美術館のあるべき姿―博物館法の改正に向けて」について(菅根幸裕)/3 博物館法はどこに向かうのか(辻 秀人)/4 学芸員養成制度の不備(青木 豊)/5 指定管理者制度により壊された博物館(大貫英明)/6 苦悩する博物館(辻 秀人)
第2章 学芸員の疲弊
1 困窮する学芸員(安高啓明)/2 博物館あって博物館学無し(中島金太郎)
第3章 崩壊原因となった関係法とその影響・聖域なき構造改革と博物館
1 公立博物館の設置及び運営に関する基準(48基準)の改正(落合広倫)/2 2003年、地方自治法244条の改正に伴う指定管理者制度(大貫英明)/3 地方分権推進委員会による第3次勧告案(青木 豊)/4 平成の大合併と博物館の統廃合(鈴木章生)/5 所管選択制がもたらす博物館の崩壊(大貫英明)
第4章 博物館の使命―収集と収蔵品管理―
1 歴史資料の保存と活用(辻 秀人)/2 民具の収集理念と保存(大貫英明)/3 リーディング・ミュージアム構想への批判(菅根幸裕)
結章 博物館の再生を目指して
1 求められる新博物館法の要件(栗原祐司)/2 歴史系博物館の存在意義(二葉俊弥)/3 養成学芸員の資質の向上(青木 豊)/4 観光立国プロジェクトと博物館(菅根幸裕)/5 外部資金の導入(安高啓明)/6 地方創生と博物館の形態(落合知子)