東南アジア考古学の泰斗、菊池誠一(昭和女子大学教授)、坂井隆(国立台湾大学教授)両先生の退官記念論文集。
ともに東南アジア考古学を専門として学会を牽引するとともに、国際的な共同研究の枠組みづくりや学術的な国際貢献に多大な功績を残した両氏と、交流のある国内外の研究者30名が寄稿。
東南アジアから中国、朝鮮半島、日本まで、陶磁器を中心にどのような交流を経てきたのかを、各地域を専門とする研究者たちが最新の知見を元に跡づける。
菊池先生・坂井先生に学ぶこと(金沢 陽)
第1章 両先生の歩み
私的ベトナム考古学史(菊池誠一)
菊池誠一先生略歴
東南アジアでの考古学協力と文化遺産保護(坂井 隆)
坂井隆先生略歴
第2章 東南アジア
東南アジアの山岳宗教(時枝 務)
ベトナムと日本の伝統的関係
NHỮNG DẤU MỐC TRONG QUAN HỆ TRUYỀN THỐNG(グエン・ヴァン・キム)
鉄器時代ベトナムの甕棺墓と耳飾から見た地域性(鈴木朋美・深山絵実梨)
林邑の人面紋瓦当─チャーキュウ遺跡とミーソン遺跡の瓦をめぐる基礎的考察─(山形眞理子)
ベトナム李朝(1009~1225年)の紀年銘塼
GẠCH IN NIÊN HIỆU THỜI LÝ(1009-1225) Ở VIỆT NAM(ダン・ホン・ソン)
前近代カンボジアの社会=宗教変容理解に向けての考古学的アプローチ─アンコール時代と後アンコール時代の『断絶』を超えて(改訂版)─(田畑幸嗣・佐藤由似)
ベトナムにおける銭貨研究の地平(菊池百里子)
南スラウェシのゴワ・タッロ王国:16-19世紀の発展地域
Kerajaan Gowa-Tallo, Sulawesi Selatan:Pusat Peradaban Abad Ke-16-19(ソニー・ウィビソノ/ナニッ・ハルカンティニンシ)
文化財の「返還」とはなにか─世界史の中のベトナム文化財返還をめぐる覚書─(俵 寛司)
Assibbukal and delpet:two types of stones used during forming stage of potterymaking in Atulu village in Cagayan Province, northern Luzon, Philippines(Kazuhiko Tanaka and Ame M. Garong)
第3章 陶磁器
中国明代瓦窯と沖縄湧田窯の比較研究(森 達也)
東南アジアに渡った肥前の芙蓉手皿―ベトナムとインドネシア―(山本文子)
肥前染付荒磯文碗の生産と流通(大橋康二)
Groninger Museumの沈没船資料―Geldermalsen号発見の陶瓷器―(髙島裕之)
「鎹継ぎ」された色絵端反蓋付碗(野上建紀)
東南アジアで出土した近代の日本産磁器とその伝世品(鈴木裕子)
Decorative tiles in Southeast Asia after the Age of Exploration(Ellen Hsieh)
第4章 日本・中国・台湾
方形周溝墓研究60年への指針(山岸良二)
弥生・古墳時代移行期の交流─東西日本の鉄・土器・社会の交流─(友廣哲也)
赤城夢譚―赤城の謂われと底に流れる思想の道程―(熊倉浩靖)
肥後伊倉の唐人墓をめぐる覚書(田中裕介)
重慶に残る抗日戦争と解放戦争期の遺跡(菊池 実)
Maritime Transportation and Harbors in Ancient Taiwan – a Focus on the Protohistoric Period –(Liu, Yi-Chang)
We are in the Midway – Three Ancient Ports and Port Settlements Studies in Taiwan –(Jiun-Yu Liu)