土器や石器・古瓦の破片が「瓦礫」として遺棄されていた考古学の黎明期に、各地で活躍した先達たち、犬塚又兵・大野延太郎・三輪善之助・神津猛・弘津史文の事績を回顧した評伝である。
彼等は「瓦礫」に関心を寄せ、それらを作った遠い過去の人類やその用法などを考究しようとした人びとのなかから誕生した。新しい情報の摂取にのみ目を奪われ、先人たちが積み上げてきた研究成果は蔑ろにされがちな今、その先人たちの仕事を真摯に振り返る考古学史研究上に貴重な論考である。
杉山 博久(すぎやま ひろひさ)
1937 年 神奈川県小田原市に生まれる
1960 年 早稲田大学第一文学部史学科・国史卒業
1962 年 早稲田大学大学院文学研究科(日本史学・修士課程)修了
1998 年 定年により神奈川県立小田原城内高等学校を退職
現 在 日本考古学協会会員・南足柄市文化財審議会委員・二宮町文化財保護委員会委員
〈主要著書〉
古墳文化基礎資料 日本横穴地名表(斎藤忠共著) 吉川弘文館 1983 年
直良信夫と考古学研究 吉川弘文館 1990 年
縄文期貝塚関係文献目録 刀水書房 1996 年
魔道に魅入られた男たち―揺籃期の考古学界 雄山閣 1999 年
直良信夫の世界―20 世紀最後の博物科学者― 刀水書房 2016 年
1 書道教師の考古学 犬塚又兵小伝
2 画工から研究者へ 雲外・大野延太郎小伝
3 博士の如き瓦屋さん 三輪善之助小伝
4 信濃考古学会の主宰者 神津猛小伝
5 考古学の生字引 弘津史文小伝