〈禁令〉からみた江戸庶民生活の実相
「徳川禁令考」を見ると、驚くほど、数多くの、細かい禁止令が生活全般に亘って出されたことに驚く。(中略)同じような内容の禁令が度々出されていて、同じ月に同じような主旨の禁令が繰り返されたり、「以前にも申し渡したが…」と、断って、数年前と同じ内容の「触」が出されたりしている。幕府の焦りというか、意気込みが感じられる。(「はじめに」より)
ロバート キャンベル「刊行に寄せて」より
『徳川禁令考』とは、明治初期から司法省で編纂された幕府の史料集であり、朝廷から諸大名、農工商、外国などの分類に分けられている。本書の著者は、一冊にまとめられている「庶民に関する禁令」を江戸初期から幕末までの時代順に並べ、簡潔にして要を得た解説を加え、通覧できるように整理しておられる。(中略)確かに、かつては回避すべきこととして在った事象を知ることで歴史に近づき、歴史から多くを学ぶことができるのである。
廣瀬 尚美(ひろせ なおみ)
1958年 お茶の水女子大学家政学部被服学科卒業、1959 年同学部被服学専攻科修了
1982~92 年 武庫川女子大学勤務
1992~99 年 東京都立短期大学勤務
2000~06 年 茨城大学非常勤講師
2007~10 年 聖徳大学オープンアカデミー講師
2013~15 年 淑徳大学池袋サテライト・キャンパス講師
主な編著書
『イギリス服飾史を探究する』(Valerie Cumming 著・翻訳・1988 年)、『ヴィジュアル百科 江戸事情 第6巻 服飾編』(共著・1994 年)、『廣瀬資料館図録』(1999 年)、『服飾文化史ガイドブック―カラー画像で見るファッションの変遷―』(2017 年)
第一章 江戸庶民への禁令とその解説
第二章 「徳川禁令考」にみる江戸の庶民生活への禁令についての考察
補章Ⅰ 江戸時代こぼれ話(江戸時代の豪商/物の値段と庶民の暮らし/西鶴の当世顔ほか)
補章Ⅱ 江戸庶民風俗メモ――豊泉益三著『近代世態風俗誌』より
補章Ⅲ 口絵「東錦絵 江戸自慢 三十六興」全点解説