高松塚古墳壁画が劣化した要因は何だったのか?
今後古墳壁画の現地保存の道を拓くためには何が必要なのか。高松塚古墳の半世紀にわたるこれまでの経緯を検証し、周辺地域の墓室壁画の現状を交えて、あらためて墓室壁画の保存と課題を考える。
松田真一 (まつだ しんいち)
天理大学附属天理参考館特別顧問・香芝市二上山博物館参与
1950 年奈良県生まれ。奈良県立橿原考古学研究所調査研究部長、同附属博物館長を経て、現職。
【主な著書・寄稿など】
『吉野仙境の歴史』文英堂、2004、『重要文化財橿原遺跡出土品の研究』奈良県立橿原考古学研究所、2011(以上、編共著)、『遺跡を学ぶ92 大川遺跡』新泉社、2014、「墓室壁画的保存與課題」『察色望形 有形及無形文化資産研究與保護』國立臺南藝術大學、2016、『奈良県の縄文遺跡』青垣出版、2017、『縄文文化の知恵と技』青垣出版、2020(以上、単著)、『葛城の考古学』八木書店、2022(編著)などがある。
序(松田真一)
1章 高松塚古墳の発見と調査研究(松田真一)
高松塚古墳の発見/高松塚古墳と陵墓/高松塚古墳の発掘調査の成果と調査研究
2章 国宝の壁画が辿った道(松田真一)
壁画はどのように扱われたか/壁画保存の模索
3章 石槨解体の矛盾と壁画劣化の真相(松田真一)
拙速だった石槨解体/明らかになった壁画劣化の真の原因
4章 東アジアの古墳壁画保存の現状(蘇 哲・東 潮・鴨志田篤二)
中国の古墳壁画の特徴と保存/高句麗の古墳壁画の保護の現状/虎塚古墳の壁画保存
5章 我が国の古墳壁画保存の課題(松田真一・西田輝彦)
もう一つの壁画古墳/国による今後の壁画保存の方針/尽くされなかった現地保存の方策/古墳壁画保存への提言/特別史跡の価値と遺跡保存の理念