岐路に立つ「文化財」と「世界遺産」
◉国内外の歴史遺産を取り巻く現実を、保護行政や学界、国際情勢など多角的な視点で考察し、終わりのない邪馬台国論争の論理や旧石器遺跡捏造事件を許したメカニズムも分析。
◉文化コンテンツの有効資源化が声高に叫ばれるなか、「文化財」と「世界遺産」のこれからとは。
中村俊介(なかむら しゅんすけ)
1965年、熊本市生まれ。早稲田大学卒。朝日新聞新潟支局、東京本社文化部、大阪本社編集委員などをへて現在、西部本社編集委員。
著書に『古代学最前線』(海鳥社)、『文化財報道と新聞記者』(吉川弘文館)、『世界遺産が消えてゆく』(千倉書房)、『遺跡でたどる邪馬台国論争』(同成社)、『世界遺産 理想と現実のはざまで』(岩波新書)など。
第Ⅰ章 考古学とジャーナリズム
◉考古学にジャーナリズムは必要か
考古学とマスメディア
◉文化財保護行政との付き合い方
メディアと埋蔵文化財行政―主に発掘報道におけるマスコミと地方自治体との健全な関係構築に向けて―
◉郷土史にひそむ魔性
邪馬台国論争私見―メディアの立場から所在地論はどう見えるか?―
考古学ジャーナリズムの功罪―複数の事例をもとにしたメディアからの文化財報道試論―
◉世界のなかの「文化財」
考古学とジャーナリズムのこれから
コラム1 文化財報道の倫理/2 発見は「事件」か?/3 古墳壁画あれこれ/4 現代史としての文化財報道
第Ⅱ章 「文化財」から「世界文化遺産」へ
◉条約採択から半世紀を迎えて
曲がり角の世界文化遺産―登録物件の増加にともなう条約理念の変質―
政治に翻弄される世界遺産―二〇一五年、ドイツ(ボン)における第三九回世界遺産委員会の報告―
世界遺産は生き残れるか
「宗像・沖ノ島」と世界遺産
岐路に立つ世界遺産―表面化する矛盾と課題―
◉ジャーナリズムの使命とは