考古学研究は資料を見ること[認知]、資料についての情報を知ること[認識=分析]、そして、当時の文化の中での役割を知ること[意味論=モデル論]と進む。本書では、分析の方法と、資料を解釈するためのモデルについて述べる。
かつて私たちは考古学の社会的意義を問い、考古学の観点から総合的な日本の歴史を創ること[古代学]を目ざしていた。本書と全書『考古学基礎論』とによって、先人たちの悲願だった「古代学」に到ったと思う。
新しい考古学を求める若い研究者たちに本書を贈る。
竹岡 俊樹 (たけおか としき)
1950年 京都府生まれ
1973年 明治大学文学部考古学専攻卒業
1980年 筑波大学歴史人類学研究科博士課程単位取得退学
1984年 パリⅥ大学博士課程修了
パリⅥ大学博士(先史学)
〈主要著書〉
『石器研究法』(言叢社 1989年)、『日本民族の感性世界―考古学から文化分析学へ―』(同成社 1996年)、『「オウム真理教事件」完全解読』(勉誠出版 1999年)、『図解日本列島旧石器時代史』(勉誠出版 2002年)、『石器の見方』(勉誠出版 2003年)、『旧石器時代の型式学』(学生社 2003年)、『前期旧石器時代の型式学』(学生社 2005年)、『旧石器時代人の歴史―アフリカから日本列島へ―』(講談社選書メチエ 2011年)、『旧石器時代文化研究法』(勉誠出版 2013年)、『石器・天皇・サブカルチャー―考古学が解く日本人の現実―』(勉誠出版 2014年)、『考古学崩壊―前期旧石器捏造事件の深層―』(勉誠出版 2014年)『考古学が解く混迷の現代 オウム事件の本質』(勉誠出版 2018年)『考古学基礎論―資料の見方・捉え方』(雄山閣 2019年)ほか。
はじめに
第1章 考古学の基礎的作業
第1節 見ること/第2節 分析すること/第3節 遺跡研究/第4節 分布論―比較研究
第2章 自然科学について
第1節 馬場壇の風景/第2節 箸墓古墳は卑弥呼の墓か
第3章 何をよりどころに論じてきたのか
第1節 欧米の研究/第2節 思想・心情/第3節 学史
第4章 意味論へ
第1節 記号/第2節 装飾/第3節 象徴的思考/第4節 象徴的世界の領域の形成/第5節 表徴
第5章 幻の力
第1節 呪物/第2節 魂と死霊/第3節 祖霊と神霊/第4節 憑霊/第5節 世界観としての病因論/第6節 神の位相
第6章 歴史の復元
第1節 縄文人のゆくえ/第2節 日本人は何者だったのか
おわりに/後記