縄文時代のはじまりはいつ?
大平山元Ⅰ遺跡、鳥浜貝塚、福井洞窟、泉福寺洞窟など草創期を代表する遺跡や、ウルシやクリなどの植物利用の起源を、最新の高精度放射性炭素(14C)年代測定による研究成果から示す。
工藤雄一郎(くどうゆういちろう)
1976年千葉県生まれ。
国立歴史民俗博物館研究部考古研究系助教・准教授(2009~2019 年)を経て、現在、学習院女子大学国際文化交流学部准教授
主な著書 『旧石器・縄文時代の環境文化史』(新泉社、2012年)、『ここまでわかった!縄文人の植物利用』(編著、新泉社、2014年)、『さらにわかった!縄文人の植物利用』(編著、新泉社、2017年)『復元イラストでみる!人類の進化と旧石器・縄文人のくらし』(編著、雄山閣、2022年)など
はじめに
第1章 問題の所在と研究の目的
問題の所在/研究の目的と方法/年代に関わる用語の整理
第2章 土器出現の年代と古環境― 研究史の整理から―
14C 年代測定法開発以前(1880年代~1950年代前半)/夏島貝塚と後氷期適応論(1950年代前半~1960年代前半)/新たな時代区分の模索(1960年代後半~1970年代前半)/晩氷期との対比(1970年代中ごろ~1980年代)/最終氷期に遡る較正曲線(1990年代前半から中ごろ)/大平山元Ⅰ遺跡の衝撃(1990年代後半)/「佐倉宣言」以降の20年(2000年代)/現在までの到達点―まとめにかえて―
第3章 暦年較正曲線IntCal20について
IntCal20の特徴/IntCal13とIntCal20の相違点/後期旧石器時代終末から縄文時代草創期の年代域での変更点
第4章 縄文時代草創期の古環境
最終氷期から後氷期への気候変動/晩氷期の高解像度な古環境変遷の復元―福井県水月湖湖底堆積物の最新データから―/縄文時代草創期の人類活動と周辺生態系
第5章 南九州の縄文時代草創期の土器の年代と煮炊きの内容物について
王子山遺跡・三角山Ⅰ遺跡の土器の煮炊きの内容物と植物利用/南九州の縄文時代草創期土器群の年代について
第6章 本州島の縄文時代草創期の土器の年代
市田沢遺跡および一里塚遺跡出土資料の14C年代/百人町三丁目西遺跡出土隆起線文土器の分析/大平山元Ⅰ遺跡出土炭化材の14C年代測定
第7章 九州北部における土器出現の年代―福井洞窟と泉福寺洞窟の研究から―
福井洞窟出土試料の年代測定/福井洞窟における土器出現の年代について/泉福寺洞窟出土試料の年代測定/北部九州における土器出現の年代について
第8章 鳥浜貝塚における年代学―縄文時代草創期を中心に―
鳥浜貝塚から出土したウルシ材の年代/鳥浜貝塚の縄文時代草創期から前期の堆積物層序と土器型式の年代/鳥浜貝塚から出土した縄文時代草創期および早期のクリ材の年代/鳥浜貝塚における縄文時代草創期の有溝砥石包含層の年代/鳥浜貝塚出土草創期末の土器付着炭化物とその年代/鳥浜貝塚から出土した縄文時代草創期の縄類の年代/縄文時代草創期末の鳥浜貝塚―表紙イラスト解説―
第9章 縄文時代草創期の年代学
初出一覧/引用・参考文献/おわりに