展示とはある意図に基づき伝えたい事柄を分かりやすく提示することをいう。では、展示学あるいは展示論とはどんな学問なのか。展示学や展示論は実学である。実学といっても医学や工学や法学などとは違い、より創造的で総合的な実学である。展示学を把握するには、博物館をつくるその多技にわたるプロットを理解することから始めるのがわかりやすい。そこで、日本展示学会では博物館のつくり方から展示学をまとめる作業を進めていた。
そうした時期に、博物館法が2008年に改正され、それに伴い、学芸員資格の取得に必要な単位や科目の見直しも行われた。その中で、展示を体得することを求めている。そうした博物館における展示論を明解にするため、日本展示学会で進めてきた展示学のための博物館の作り方を編集し直し、新たな学芸員養成の教科書として、展示学や展示論の入門書として、ここにまとめた。
1章 展示と博物館
2章 展示のプロセスと人
3章 博物館の展示をつくる
4章 博物館展示のコンポーネント
5章 博物館情報・メディア論―展示と情報・メディア
6章 博物館教育論―展示の活用とその効果
7章 展示の現場から