名優八代目坂東三津五郎と鬼才武智鉄二が「芸」について語り合った十夜の記録。
伝説の名著がついに復刊。
坂東三津五郎 [バンドウミツゴロウ] 明治39年(1906)10月東京生まれ。明治43年(1910)に七代目坂東三津五郎の養子となり、大正2年(1913)1月市村座にて三代目坂東八十助として初舞台。昭和3年(1928)6月明治座「鞍馬源氏」の牛若丸で六代目坂東簑助を襲名。昭和7年には研究劇団「新劇場」を設立。以後宝東劇団を経て松竹に復帰し関西を中心に活躍、特に戦後の「武智歌舞伎」には指導役として参加、多くの若手歌舞伎俳優を育てた。その後東京に戻り、昭和37年(1962)9月歌舞伎座「喜撰」などで八代目坂東三津五郎を襲名。昭和48年には人間国宝の認定を受ける。読書家・博識家で知られ多数の著書がある。昭和50年(1975)1月逝去(享年六十八)
武智鉄二 [タケチテツジ] 大正元年(1912)12月大阪生まれ。昭和11年(1936)京都帝国大学経済学部卒業。昭和14年個人雑誌『劇評』を創刊し古典芸能の研究・批評活動を開始。戦時中の昭和19年(1944)より「断絃会」などにおいて私財を投じて古典芸能の保存や育成に努めた。また戦後の昭和24年からは歌舞伎演出の再検討を目的としたいわゆる「武智歌舞伎」を手がけ、戦後演劇史における一大エポックとなった。その後も能や狂言といった古典だけでなく現代劇など数々の演劇や舞踊、オペラ・映画を演出。その前衛的・実験的演出は数々の著作とともに多方面に大きな影響を与え続けた。昭和63年(1988)7月逝去(享年七十五)