行動論的視座から、磐田原台地の新たな旧石器時代史を描く。
現代考古学の最新理論を駆使した緻密な資料分析により、従来の研究成果を再構築する。石材利用戦略を読み解き、温帯地域の新たなモデルとして「磐田原型居住行動」を示す。
著者紹介
富樫孝志(とがし たかし)
1964 年 愛知県生まれ
1988 年 山口大学人文学部人文学科卒業
同 年 山口大学理学部地質学鉱物科学科 研究生入学
1989 年 岡山大学文学研究科修士課程入学
1991 年 同修士課程修了
同 年 岡山大学文学部助手に採用
1995 年 静岡県職員に採用
2011 年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程入学
2015 年 同博士課程修了 博士(文学)取得
現 在 静岡県教育委員会 主幹
〈主要編著書・論文〉
「山口県雨乞台遺跡におけるガラス質安山岩製石器群の再検討」『山口大学考古学論集 中村友
博先生退任記念論文集』山口大学考古学研究室 2012 年
共著「六 東海・北陸地方」『日本の考古学講座1 旧石器時代 上』青木書店 2010 年
「高見丘Ⅲ遺跡におけるナイフ形石器の形態形成過程」『静岡県考古学研究』第40 号 2008 年
「殿山遺跡出土ナイフ形石器の形態学的考察」『上尾市殿山遺跡シンポジウム―石器が語る2 万年―』埼玉考古学会・上尾市教育委員会 2005 年
「旧石器時代における遺跡形成過程―高見丘Ⅲ遺跡エリア1 の解釈―」『静岡県考古学研究』第30 号 1988 年
第1 章 研究史と本書の目的
第1 節 本書の研究戦略
第2 節 日本における旧石器時代の行動論研究
第3 節 磐田原台地の概要
第4 節 磐田原台地における旧石器時代研究史
第5 節 諸概念の整備
第6 節 石器分類体系の再編
第7 節 磐田原台地の古環境復元
第2 章 主要石器群の再検討と問題点の抽出
第1 節 寺谷遺跡における2 つの集落
第2 節 広野北遺跡の文化層分離
第3 節 エリア区分の問題点
第4 節 従来編年の問題点
第3 章 石器群の構造変動と居住行動
第1 節 石器群の再構成
第2 節 台形様石器を含む石器群の構造と運用
第3 節 AT 下位石器群段階の構造と運用
第4 節 瀬戸内系石器群・角錐状石器群の構造と運用
第5 節 縦長剥片系石器群段階の構造と運用
第6 節 周縁・両面調整尖頭形石器の出現と二極構造の崩壊
第7 節 構造変動のまとめ
第4 章 石器群の行動論的評価
第1 節 瀬戸内系石器群・角錐状石器群の運用評価
第2 節 瀬戸内系石器群・角錐状石器群の戦略束
第3 節 縦長剥片系石器群・不定形剥片系石器群の戦略束
第4 節 両面体調整石器と尖頭器石器群の戦略束
第5 節 磐田原台地における居住行動のまとめ
第6 節 磐田原型居住行動の形成
第7 節 黒曜石製石器に見る台地外行動とテリトリー
第5 章 結 論「磐田原型居住行動」