変貌する〈渋谷〉と新たな「渋谷学」の構築
本書は「渋谷」の特色を「にぎわい空間」と捉え、その「渋谷」を三つの視点から明らかにしようとする。第一はにぎわい空間が形成されるに至った経緯という方向から、第二はにぎわいを維持させている仕組み、第三として、にぎわいそのものを対象とする。
以上、三つの視点に基づく論考を各編としてまとめ、「にぎわい空間としての渋谷」を多面的に解明した。
上山 和雄(うえやま かずお)
昭和21(1946)年生 國學院大學文学部教授・横浜開港資料館館長
主要業績
『陣笠代議士の研究』(日本経済評論社、1989 年)
『対立と妥協―1930 年代の日米通商関係―』(共編著、第一法規、1994 年)
『帝都と軍隊―地域と民衆の視点から―』(編著、日本経済評論社、2002 年)
『北米における総合商社の活動―1896 ~ 1941 年の三井物産―』(日本経済評論社、2005 年)
『歴史の中の渋谷―渋谷から江戸・東京へ―』(編著、雄山閣、2011 年)
『柏にあった陸軍飛行場―「秋水」と軍関連施設―』(編著、芙蓉書房、2015 年)
『日本近代蚕糸業の展開』(日本経済評論社、2016 年)
『軍港都市史研究Ⅳ 横須賀編』(編著、清文堂、2017 年)
はじめに(上山 和雄)
第一編〈にぎわい〉空間の形成
第一章 宮邸と渋谷 ―梨本宮家を中心に―(内山 京子)
第二章 代々木練兵場の社会史(吉田 律人)
第三章 國學院と校地「渋谷」 ―大学の歴史と文教地区の形成―(渡邉 卓)
第四章 渋谷駅前の戦災復興 ―駅前広場・闇市・再開発―(石榑 督和)
第二編〈にぎわい〉の背景、行政・衛生・防災
第五章 戦後渋谷区の総合計画―昭和四八年「渋谷区長期基本計画」を中心に―(手塚 雄太)
第六章 戦後の渋谷区における鼠駆除の変遷(高橋奈津子)
第七章 渋谷の防災・減災と宗教文化(黒﨑 浩行)
第三編〈にぎわい〉からみた祝祭空間
第八章 渋谷の花街と芸妓(半戸 文)
第九章 渋谷の都市祭りと地域社会 ―神田祭との比較を交えて―(秋野 淳一)
第十章 イメージと現実の渋谷―外来者と生活者からみる渋谷の空間―(髙久 舞)
第十一章 SHIBUYAに聖地は似合わない―ポピュラーカルチャー「聖地巡礼」と渋谷―(飯倉 義之)
あとがき(上山 和雄)