古人骨が持つ多彩な情報をどのように引き出し、どのように時代像や社会像にアプローチしていくのか。骨考古学の魅力と近年の研究動向をまとめる。
奈良貴史(新潟医療福祉大学教授)
1960 年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒,ボルドー大学理学部生
物学科人類学専攻博士課程修了。PhD。主な著書『ネアンデルター
ル人類のなぞ』『ヒトはどうして難産なのか―お産からみる人類進化』。
米田 穣(東京大学教授)
1969 年徳島生まれ。東京大学理学系研究科人類学専攻中退。博士
(理学)。主な論著に「炭素・窒素同位体でみた縄文時代の食資源
利用:京葉地区における中期から後期への変遷」『季刊考古学・別
冊21 縄文時代の資源利用と社会』など。
澤田純明(新潟医療福祉大学准教授)
1973 年北海道生まれ。東北大学大学院医学系研究科博士過程修了。
博士(障害科学)。編著書に『北上山地に日本更新世人類化石を探
る―岩手県大迫町アバクチ・風穴洞穴遺跡の発掘―』など。
口絵(カラー)
人骨の発掘と骨考古学
人骨修復のbefore and after
復 顔
妊娠出産痕―耳状面前溝のタイプ―
人骨に見られる人為損傷
四肢骨の機能適応と活動習慣の復元
骨の同位体分析
古代DNA解析
目次
骨考古学のこれまでとこれから(片山一道)
人骨の発掘方法―取り上げから報告書まで―(奈良貴史)
人骨の形質から読み解く生活誌と生活史
妊娠出産痕(五十嵐由里子)
人骨に見られる人為損傷(坂上和弘)
四肢骨の機能適応と活動習慣の復元(萩原康雄)
筋付着部発達度分析から復元する身体活動―縄文狩猟採集民と弥生水稲農耕民のMSMsの性差と年齢差―(米元史織)
古人骨の虫歯と歯周病(佐宗亜衣子)
ストレスマーカーから探る過去の人々の健康状態(澤田純明)
【コラム】古人骨の修復(中塚彰子・佐伯史子)
社会構造復元へのアプローチ
埋葬行為復元の骨考古学的意義(青野友哉)
未成人骨の年齢推定と人口構造(長岡朋人)
古人骨集団における授乳・離乳パターンの推定(蔦谷 匠)
骨考古学からせまる社会の複雑化 ―人間行動生態学の視点―(米田 穣)
結核と社会(岡崎健治)
【コラム】骨から顔立ちを復元する(川久保善智・戸坂明日香)
進歩する分析手法
アミノ酸窒素同位体比による先史集団の詳細な食性復元(板橋 悠)
ストロンチウム同位体比による移動と集団構造(日下宗一郎)
歯石の生物考古学―DNAとプロテオミクスを中心に―(澤藤りかい )
コラーゲンフィンガープリント法(ZooMS)(覚張隆史)
【コラム】古代DNA解析の見地からみた骨考古学(安達 登)
最近の発掘から
双頭龍紋鏡が出土した低地の遺跡―神奈川県厚木市戸田小柳遺跡―(戸羽康一)
連載 考古学の旬
磨製石戈と弥生文化(石川日出志)
書評
論文展望
報告書・会誌新刊一覧
考古学界ニュース