牙・角製道具に秘められたひみつとは
出土遺物の詳細な考古学的観察と過酷な条件下での製作・使用実験から、酷寒の地に暮らしたマンモスハンターの制作技術の実態に迫るとともに、北方ユーラシアにおける旧石器時代研究の到達点を示す。
東グラヴェット文化の女性像をめぐる最新研究、角の打製剥離技術を物語る新発見例、人類の極北への拡散に関わる最新の研究動向を紹介した3論考を追補。
太字箇所が本「増補版」で新たに収録された論考です
第Ⅰ部 牙と角のわざのひみつ
第1章 マンモスの牙、トナカイの角:かたちとなりたち
第2章 マンモスの牙とトナカイの角加工法の研究史
第3章 基本的な観察と考古学的な観察
第4章 マンモスの牙とトナカイの角の剥離実験
第5章 角と牙のたわみ実験―形状記憶
第6章 マンモスの生活にみられる自然の破損と磨滅化の痕跡
第7章 マンモスの牙と角加工に用いられた石器に残る痕跡
補論1 旧石器のヴィーナスたち
補論2 角の剝離法による旧石器時代の遺物
第Ⅱ部 酷寒に挑む旧石器時代の人びとに秘められた技
―北方ユーラシアにおけるホモ・サピエンスとマンモスハンターの起源
1. 極寒の地に足を踏み入れたのは誰か
2. 旧石器時代における環境と文化の変遷史
3. 寒さを味方にした人びと―マンモスハンターの文化の成立と展開
4. マンモスの骨格住居とマンモスの絶滅問題
5. マンモス牙製の槍に守られた少年・少女たち
6. 氷河時代の“ゼムリェプラホーヂェツィ(踏破者たち)”
7. 終章 マンモスハンターの文化の起源、再論
補論3 人類による極北進出めぐる研究の新たな展開