イベリア半島から西シベリアに至る広大な地域でつくられたヴィーナスが象徴する、グラヴェット文化の美と知のネットワークを探る!
西ヨーロッパ:ロージュリ・バッスのいわゆる「最初のヴィーナス」、グリマルディのヴィーナス、…
東ヨーロッパ:アヴディヴィォのヴィーナス、コスティエンキのヴィーナス、…
西シベリア:ブレチのヴィーナス、マリタのヴィーナス、…
竹花和晴(たけはな かずはる Kazuharu Takehana)
1954年、岩手県九戸郡軽米町生まれ。
人類古生物学研究所(Institut de Paléontologie Humaine)・仏国立自然史博物館(Muséum Nationald’Histoire Naturelle)、修士課程(DEA)修了(1986年)。
人類古生物学研究所(Institut de Paléontologie Humaine)・仏国立自然史博物館、統一博士課程修了(1991年)。
仏大学省認定・自然史博物館博士号取得(先史学・地質学・古生物;1992年)、理学博士(先史学)。
人類古生物学研究所・通信会員(2014年より)。
《主要著書》
「ラスコー洞窟」『世界の遺産100』朝日ワンデーマガジン、1995年。
「アシュール文化集団の生活様式と行動を解明する一つの独自なアプローチ、探求すべき一遺跡.テラマタ遺跡のアシュール文化集団の居住面層」、『テラマタ遺跡、フランス・アルプマリティム県ニース市―テラマタ遺跡のアシュール文化狩猟集団の居住面の詳細と考古学的堆積物の分層化―』、第Ⅲ巻、リュムレイH. de 監修、仏国立科学調査センター出版、パリ、pp.463-464、477p.(全編仏語)2013年。「学際的研究による更新世中期における南ヨーロッパのアシュール文化集団の生活様式と行動を探求すべき一遺跡」、『テラマタ遺跡、フランス・アルプマリティム県ニース市―テラマタ遺跡のアシュール文化狩猟集団の生活様式と行動―』、第V巻、リュムレイH. de 監修、仏国立科学調査センター出版、パリ、p.407、536p.(全編仏語)2016 年。
Whale hunting of the Ainu and the prehistoric tradition, The Whale on the Rock.,( ed. : Ulsan PetroglyphMuseum), Ulsan Petroglyph Museum, Ulsan, Republic of Korea, pp.123-136, 303p.(全編英語)2017年。
「グラヴェット文化におけるヴィーナス様式の研究」『旧石器時代の知恵と技術』雄山閣、2017 年。
序章 グラヴェット文化の概要
プロローグ/1 研究史/2 地理的な分布/3 古環境/4 石器文化/5 住居遺構と生活様式/6 芸術的表現/7 代表的遺跡/8 人類学上の資料/エピローグ
第1章 グラヴェット文化のヴィーナスの様式、特に西ヨーロッパの研究
はじめに
第1節 総論
(1)研究の歴史
(2)後期旧石器時代前半の古気候
1 オーリニャック文化期/2 グラヴェット文化期
(3)文化編年上の位置
(4)ヴィーナスの像誕生の背景
第2節 西ヨーロッパのヴィーナスの像
はじめに/1 最初のいわゆる「ヴィーナスの像」/2 最初のグラヴェット文化の小像/3 ブラッサンプーイの多様な小像群/4 南ヨーロッパの典型的ヴィーナスの像/5 ヴィーナスの様式における“傑作”/6 新たに発見されたヴィーナスの像/7 マドレーヌ文化のヴィーナス/8 人像様の最も古い動産芸術/9 パトー岩陰の浅浮き彫り/10 シィリューイーユのヴィーナスの像/11 チュルサックのヴィーナスの像/12 ローセルの浅浮き彫り像/13 テルム・ピアラの浅浮き彫り画/14 畑の中で発見されたヴィーナスの像/15 サヴィニャーノのヴィーナス/16 キオッツアの小像/17 ルナンクールⅠ開地のヴィーナスの像
第3節 西ヨーロッパのヴィーナスの像群の特徴
はじめに/1 材料/2 像のサイズ/3 頭部の形/4 顔の表現/5 胸部の表現/6 上半身の均整/7 腹部の表現/8 臀部の表現/9 最大幅の位置/10 下半身末端の特徴/11 下半身の均整/12 妊娠の特徴/13 表現上のタイプ/14 人物描写の特徴/15 身体以外の表現
結論
第2章 中部ヨーロッパにおける後期旧石器文化のヴィーナスの様式
はじめに
第1節 「ヴィーナスの様式」の背景と位置づけ
はじめに
(1)西ヨーロッパの研究史
(2)中部ヨーロッパの研究
(3)後期旧石器時代前半の古気候
1 前段のオーリニャック文化/2 グラヴェット文化期
(4)ヴィーナスの様式における文化編年上の位置
(5)ヴィーナスの様式が生まれる背景
第2節 中部ヨーロッパで発見されたヴィーナス像
(1)関連遺跡と「ヴィーナスの様式」
1 ヴィレンドルフ開地の「ヴィーナスの像」/2 ワインベルグのヴィーナスの像/3 リンゼンベルグのヴィーナスの像/4 ガイセンクラステルレの人物像/5 フォゲルヘルドのヒト形の像/6 ホーレンシュタインの擬人像/7 ホーレ・フェルス洞窟の最古のヴィーナスの像/8 ドルニ・ヴェストニツェ開地における一群の「ヴィーナス」/9 パヴロフ開地の「ヴィーナスの像」/10 ペトルコヴィツェの「ヴィーナスの像」/11 ブルノⅡのヒトの像/12 プレドゥモストのヴィーナスの像/13 モラヴァニーの「ヴィーナス」
第3節 中部ヨーロッパにおける「ヴィーナスの様式」の分析
(1)中部ヨーロッパのヴィーナスの像群の特徴
1 材料/2 サイズ/3 頭部の形/4 頭髪の表現/5 顔部の表現/6 頭と顔の有無/7 身体に対する頭部の均整/8 胸部の表現/9 上半身の均整/10 腹部の表現/11 臀部の表現/12 最大幅の位置/13 下半身末端の特徴/14 下半身の均整/15 妊娠の特徴/16 表現の特徴/17 身体以外で表現されているもの/18 「ヴィーナスの像」の帰属時期
結論
第3章 東ヨーロッパ大平原に展開した「ヴィーナス像の様式」
はじめに
第1節 東ヨーロッパの「ヴィーナス」
(1)背景をなす地理的空間
(2)研究の歴史
(3)後期旧石器時代前半の古気候
(4)「ヴィーナスの像」の編年上の位置
(5)ヴィーナスの様式が生まれる背景
第2節 東ヨーロッパのヴィーナスの像
はじめに
(1)モロドヴァⅤ開地のヴィーナスの像
(2)アヴディエヴォのヴィーナスの像群
(3)ガガリノのヴィーナスの像群
(4)ポリヤコフ遺跡のヴィーナスの像群
(5)コスティエンキⅧのヴィーナスの像
(6)エリセエヴィッチのヴィーナスの像
第3節 総論と比較
(1)東ヨーロッパ大平原
1 頭部の表現/2 頭髪/3 顔の具象性/4 妊娠の特徴/5 胸部の特徴/6 身体中央部/7 足部の表現/8 下半身の縮約性/9 複合的な表現/10 像の大きさ/11 身体のプロポーション
結論
第4章 グラヴェット文化の「ヴィーナスの様式」、特に西シベリア地域の研究
はじめに
第1節 西シベリアの「ヴィーナスの像」
(1)背景をなす地理的空間
(2)研究の歴史
1 隣接地域の研究/2 シベリア
(3)後期旧石器時代前半の古気候
1 オーリニャック文化期/2 グラヴェット文化期
(4)「ヴィーナスの像」の編年上の位置
(5)ヴィーナスの様式が生まれる背景
(6)シベリアのヴィーナスの像群
1 ブレチのヴィーナスの像/2 マリタのヴィーナスの像
第2節 比較・総論
はじめに
(1)身体の表現
1 頭部表現/2 頭髪/3 顔の表現/4 腹部/5 胸部/6 身体中央/7 身体下端/8 下端の縮約
(2)複合的な表現
1 身体の総合的特徴/2 彫像の大きさ/3 均整
結論
終章 結論
引用参考文論/欧文要約/あとがき/[追記・初出について]