東南アジアの地域と時代により、様々な様相を見せる耳飾―
玦状耳飾/四つの突起を持つ玦状耳飾/三つの突起を持つ玦状耳飾 /双獣頭形耳飾
その形態・時空間分布・編年・製作技術・製作体系・素材選択の分析を通して先史時代海域ネットワークの成立と展開を解明し、当地における人間活動の動態を浮き彫りにする。
深山絵実梨 (みやま えみり)
2009年 早稲田大学第一文学部考古学専修卒業
2013年〜2015年 日本学術振興会特別研究員DC2
2017年〜2020年 東京藝術大学社会連携センター特任助手
2020年 早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程考古学コース修了 博士(文学)
2020年より 日本学術振興会特別研究員PD(立教大学受入)
〈主要論文〉
2010年「環南シナ海地域の耳飾 : 鉄器時代の有角玦状耳飾を中心に(東南アジアの生活と文化〔3〕飾る・祈る・標す:南海の装身具)」『東南アジア考古学会研究報告』8(東南アジア考古学会)
2011年「鉄器時代、ベトナム出土有角玦状耳飾の形態分類と編年」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第4 分冊(早稲田大学大学院文学研究科)
2014年「先史時代東南アジアにおける耳飾と地域社会 : 3つの突起を持つ石製玦状耳飾の製作体系復元」(特集 世界考古学 : 東アジア・東南アジア)『古代』135(早稲田大学考古学会)
2015年「鉄器時代海域東南アジア出土・採集の双獣頭形耳飾とその形態学的検討」『史観 』173(早稲田大学史学会)
序章
はじめに
研究の目的と背景
研究の視座と方法―広域分布遺物としての耳飾からいかに人の動きを復元するか―
本論の構成
1.研究史
1-1.東南アジア先史・古代考古学におけるネットワーク
1-2.東南アジア先史考古学研究における耳飾の位置付け
2.南シナ海周辺地域の地誌と歴史的背景
2-1.「東南アジア」世界の成立
2-2.東南アジアのなかの南シナ海とその周辺地域
2-3.東南アジアの先史・古代社会
2-4.史料からみた原史東南アジア
3. 対象資料と年代観
3-1.ベトナム出土の耳飾
3-2.フィリピン出土の耳飾
3-3.カンボジア出土の耳飾
3-4.タイ出土の耳飾
3-5.マレーシア出土の耳飾
3-6.台湾出土の耳飾
3-7.中国出土の耳飾
3-8.本研究における対象遺跡の年代と時期区分
4.耳飾の形態分類と時空間分布および編年
4-1.耳飾の形態分類と時空間分布
4-2.各時期の様相
小結 耳飾製作におけるデザイン的要素
5.耳飾の製作技術復元と穿孔技術の分析
5-1.耳飾の製作工程復元
5-2.レプリカセム法による穿孔技術の分析
小結 耳飾製作における製作技術的要素 231
6.耳飾の素材分析からみた資源選択と利用
6-1.耳飾の素材分析とその可能性
6-2.素材分析とその成果
6-3.南シナ海周辺地域における形態・地域ごとの素材利用
6-4.南シナ海周辺地域における素材の選択性
7.耳飾の形態・技術・素材から復元する製作体系の変遷
7-1.耳飾の製作体系―形態・技術・素材による類型化―
7-2.製作体系の時空間分布からみた耳飾の初源・展開・終焉
小結 耳飾の製作体系とその背後にみえる製作者集団
8.南シナ海周辺の地域社会における耳飾の機能と受容
8-1.耳飾の出土状況からみた機能
8-2.各地域社会における耳飾の受容
終章 南シナ海周辺地域の先史時代海域ネットワークと回遊職能民
本研究の到達点
先行研究再考
耳飾からみた先史時代東南アジアにおける南シナ海周辺地域の特徴
回遊職能民としての耳飾製作者集団と海域ネットワーク
謝辞
あとがき
引用文献
図版出典
付表
1.玦状耳飾一覧/ 2.四つの突起を持つ玦状耳飾一覧/ 3.三つの突起を持つ玦状耳飾一覧 / 4.双獣頭形耳飾一覧 / 5.素材分析結果一覧
索引
英文目次(Contents)
英文概要(Abstract)