世界文化遺産の長崎・天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が注目されている。
かくれキリシタンの信仰形態や島原天草一揆、禁教政策などの実態を長崎・天草の双方からキリシタン史を紐解き、共通点・相違点を解明してキリシタン史に新たな光を照射する。
新史料の古文書解読も紹介する。
安高啓明(やすたか・ひろあき)
熊本大学大学院人文社会科学研究部准教授
1978 年長崎市生まれ 中央大学文学部史学科卒業 中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(史学 中央大学)、博士(国際文化 西南学院大学)
主な著書に『近世長崎司法制度の研究』(思文閣出版、2010年)『日中韓博物館事情―地域博物館と大学博物館』(共編)(雄山閣、2014年)『歴史のなかのミュージアム-驚異の部屋から大学博物館まで』(昭和堂、2014年)『浦上四番崩れ-長崎・天草禁教史の新解釈』(長崎文献社、2016年)『踏絵を踏んだキリシタン』(吉川弘文館、2018年)『潜伏キリシタンを知る事典』(柊風舎、2022年)などがある。
長崎と天草の潜伏キリシタン❖ 目次
はじめに
序論
第Ⅰ部 禁教と「異宗」への転換点
第1章 長崎と天草におけるキリシタン認識と変容―体制側の視点から― (安高啓明)
コラムⅠ-1 イエズス会の布教活動と天草コレジオ(於久智哉・牧野寿美礼)
第2章 大矢野・維和島における島原天草一揆(山﨑恭弥)
コラムⅠ-2 天草の歴史の縮図「湯島」(安高啓明)
第3章 三宅藤兵衛の動向と天草一揆の攻勢(山田悠太朗)
コラムⅠ-3 富岡切支丹供養碑(山田悠太朗)
第Ⅱ部 禁教政策の展延と潜伏キリシタンの動向
第1章 長崎奉行所による真鍮踏絵貸与の意義―岡藩“踏絵鋳造事件”を通じて―(安高啓明・於久智哉)
コラムⅡ-1 長崎くんちの天草への伝播(安高啓明)
第2章 享保期における島原藩の漂着船対応―第1次島原藩預り時代を中心に―(丸木春香)
第3章 第2次島原藩預りにおける天草遠見番の漂着唐船対応とキリシタン政策―天明3年から文化10年までを中心に―(安高啓明・牧野寿美礼)
コラムⅡ-2 異国船対応と荒尾嶽烽火台(牧野寿美礼)
第4章 天草一町田村と高浜村における類族改の実態―上田家新出資料の分析を通じて―(安高啓明)
第5章 天草への公儀流人の差遣と禁教政策(山田悠太朗)
コラムⅡ -3 流人となった定舜上人と天草(山田悠太朗)
第6章 天草キリシタンと長崎・外海・五島系キリシタンの繋がり(島由季)
コラムⅡ -4 大江教会がつなぐ鉄川与助とガルニエ神父(山田悠太朗)
第Ⅲ部 禁教解禁の胎動
第1章 安政五ヵ国条約の締結と居留地の造成―天草郡中の関わりを中心に―(安高啓明・原田吉子)
コラムⅢ -1 再布教のはじまり―パリ外国宣教会―(島由季)
第2章 絵踏廃止による宗門改と宗門帳の変容― 天草大庄屋文書の分析を中心に―(安高啓明)
コラムⅢ-2 ド・ロ版画(島由季)
第3章 浦上四番崩れと明治初期の禁教政策(山下葵)
コラムⅢ-3 世界文化遺産の活用と研究体制の強化(安高啓明)
おわりに