古今の名刀リスト『名物帳』の世界
刀剣名物帳の詳細を解明した幻の名著がついに復刊!
図版をもとにして作柄の説明をすること、並びにこの際名物帳の数ある写本の中から善本を選んで底本として版本をつくり、更に名物帳の記事に補訂を加え内容を理解し易くしたものを出そうと言うことで仕事に取りかかった。(中略)説明の不足している個所はできるだけ確かな資料で補うようにと心掛けた。(中略)すべてを尽し得なかったと言う憾はあるが、拝見のできたものについては最善を尽した積りである。本書によって名物の実体をより正確に、より詳細に世に伝え得られるようであればこれ以上の喜びはない。(「序文」より)
名刀鑑賞の基礎『(享保)名物帳』を完全解説
◆本書の特色◆
豊かな内容の底本
献進本『刀剣名物帳』をはじめ星野求与本その他を参照しつつ、最も正確で内容豊かな本阿弥長根の書入れ本を底本としている。
完璧な補注
名物の由来や移動に関する原典の記述をより詳しく解説。
百数十口の図版を挿入し説明―収載刀数168口、焼失刀を含めて、現存する名物刀の自拓押形、写真、古絵図を挿入し、その作柄の特長を解明。
辻本 直男(つじもと ただお)
1907(明治40)年、奈良県に生まれる。
東京文理科大学国史学科卒。
東京帝室博物館に奉職、その後文化財保護委員会に転じ1969(昭和44)年3月文化庁を退職。この間日本刀の調査・研究・指定並びに登録の管理に従事。また文化庁調査員・東京教育大学講師・日本美術刀剣保存協会審査員並びに研究員などを歴任。
主な編著書に『信翁刀剣随筆』(編・1956年)、『図録 伊勢神宮宝刀図譜』(1974年・大塚巧藝社)、『今村別役 刀剣講話』(監修・1978年・博友社)、『刀剣人物誌』(2012年・刀剣春秋)。その他刀剣研究の論文を多数執筆。
図説刀剣名物帳を世に送るにあたって/凡例
総説
将軍吉宗と名物/国別・系統別による名物/焼身の名物/名物追記/種別による名物/各時代の刀工/大磨上げと極め銘/命名の由来/名物の所蔵者/名物の移動/名物の成立/名物帳/埋忠銘鑑/継平押型/光温刀譜/光徳刀絵図集成/徳川実紀/寛政重修諸家譜/本阿弥行状記
図説刀剣名物帳
名物三作 上(吉光/正宗/義弘)
名物集 中(山城国/大和国/相模国/美濃国/備前国/備中国/備後国/筑前国)
名物焼失 下(吉光/正宗/義弘/山城国/相模国/美濃・備前・豊後・豊前・越中国〉
名物追記
昔之名剣・御所之剣(昔之名剣/禁裏(御所)之剣)