漢籍に関する該博な知識に基づいて、文献史料や金石文を精密に解読し、日本古代史の課題に挑む。
東野治之(とうの はるゆき)
1946年生まれ。大阪市立大学大学院修士課程修了。奈良国立文化財研究所文部技官、大阪大学教授、奈良大学教授を歴任。東京大学博士(文学)、日本学士院会員、斑鳩町文化財活用センター長、杏雨書屋館長、滴翠美術館館長、日本ワーグナー協会評議員。
おもな著書に『正倉院文書と木簡の研究』『日本古代木簡の研究』『長屋王家木簡の研究』(以上、塙書房)、『遣唐使と正倉院』『書の古代史』『日本古代金石文の研究』『日本古代史料学』『史料学探訪』『法隆寺と聖徳太子』(以上、岩波書店)、『木簡が語る日本の古代』『正倉院』『遣唐使』『鑑真』(以上、岩波新書)、『聖徳太子』(岩波ジュニア新書)、『上宮聖徳法王帝説』(校注、岩波文庫)、『史料学遍歴』(雄山閣)、『遣唐使船』『貨幣の日本史』(以上、朝日選書)などがある。
第1章 史料が語る古代
ヤマトから日本へ―古代国家の成立と国号―
『日本書紀』と古代史
初期の四天王寺と『大同縁起』
平隆寺と施鹿園寺
聖武天皇の伊勢国行幸―遷都と大仏造立への一階梯―
称徳天皇はどこに葬られたか
遣唐使に見る日本の対外交流
遣唐使出発地の古代地名―美祢良久と美弥良久―
隋唐の離宮と古代日本の宮都
古代における真鍮の受容
第2章 金石文と典籍
庚寅銘大刀の銘文とその書風
吉備真備書の李訓墓誌と楊貴氏墓誌
東京護国寺所在の安倍仲麻呂塚の碑
忘れられた法律書『古律書残篇』を訓む
信貴山寺資財宝物帳―翻刻と覚書―
模本から見た病草紙の伝来と思想的背景
杏雨書屋の敦煌写本景教経典
トルファン出土の『列子』張湛注と『遺教経』有注本の断簡
付章 史料と人
杏雨書屋と法隆寺佐伯定胤管長
法隆寺壁画模写の巨匠・入江波光の修業時代
銅版師・岡田春燈斎の逸事
斑鳩と私
奈良学が結ぶ縁
今泉隆雄君と私
奈良大学二十二年
故尾藤正英会員追悼の辞
上野の春のワーグナー
ワーグナー受容事始―ケーベルと姉崎正治―
書後
研究者索引