地球科学や生命科学の最先端の分析手法を応用して、遺跡や遺物から最大限の情報を抽出する考古科学。
東アジアをフィールドに、新たな展開をみせるその最新研究成果を展望する。
中村 慎一 NAKAMURA Shinichi
金沢大学 理事・副学長
1957年東京生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科考古学専攻博士課程単位取得退学。
博士(文学)。
国立文化財機構奈良文化財研究所研究員、金沢大学講師、准教授、教授を経て、現職。
主な著書に、『河姆渡と良渚』(共編著)、『中国江南の考古学』(編著)、『中国新石器時代の探求』(編著)などがある。
東アジア考古科学の新展開◉目次
まえがき 中村 慎一
1 遺跡と遺物の考古科学
科技考古に関する日中共同研究 中村 慎一
中国考古学におけるリモートセンシングの活用 渡部 展也
水田探査の変遷と展望 宇田津 徹朗
良渚遺跡群における「都市性」の議論 米田 穣
収穫に用いられた民具の使用痕―ラオス等で収集された収穫具の観察― 原田 幹
2 動植物の考古科学
二里頭文化における畜産の革新 菊地 大樹
動物考古学から世界最古の家禽を探る 江田 真毅
骨や歯のリン酸基酸素同位体分析の手法と応用 板橋 悠・米田 穣
草原のノマドとキビ粥 庄田 慎矢・村上 夏希・Elina Ananyevskaya・Yana Lukpanova・Helen M. Talbot・Oliver E. Craig・Giedre Motuzaite Matuzeviciute
東アジアにおける残存デンプン粒分析の進展 渋谷 綾子
残存デンプン粒分析の実践―北海道円筒土器文化圏の礫石器の加工対象物と加工作業の復元― 上條 信彦
栽培育種学を応用した考古科学 石川 隆二
叩き割り技術による日中新石器時代の編組製品の製作と用途 佐々木 由香
3 人の考古科学
考古学研究から古人学研究へ―パレオゲノミクスから考える将来の展望― 覚張 隆史
パレオゲノミクスから探る現代日本人の成り立ち 中込 滋樹
パレオプロテオミクスの進展と展望 西内 巧
植物遺物の古DNA・古ゲノミクス研究 熊谷 真彦
河姆渡遺跡と田螺山遺跡から出土した人骨 澤田 純明・佐伯 史子
新石器時代の長江デルタにおける稲作農耕民の健康状態 岡崎 健治・高椋 浩史・板橋 悠・覚張 隆史・米田 穣・朱 暁汀・芮 国耀・陳 傑
編集後記 覚張 隆史