
《日本文化再発見》の一環として遊女・遊里の歴史を文明論や社会学の視点から緻密に解き明かした記念碑的名著が〈普及版〉となって久々に復刊!!
「下巻」では遊女・遊里の華やかで虚飾にみちた実態を多方面から詳述する。
西欧でも中国でも、遊女と遊里の歴史は単なる性欲発散機関の歴史にすぎないが、わが国のみは、これを美の極致にまで昇華し、ついには遊女を菩薩視する宗教的境地にまで到達させた。このような奇妙な能力を持つ民族が他にあろうか。(中略)こうした明暗両面がみごとに調和し共存していたところに、近世社会の奇怪なおもしろさがあった。(「はじめに」より)

明田鉄男(あけた てつお)
大正10年(1921)愛媛県宇和島市生まれ。京都大学法学部卒業後、京都新聞記者を経て昭和27年(1952)11月読売新聞大阪本社入社、編集局に勤務。昭和50年
論説委員。昭和59年(1984)8月同社を定年退職。以後、霊山歴史館主任研究員、大手前女子大学非常勤講師、滋賀女子短期大学教授等を歴任。
〈編著書〉
『幕末京都』(上下・1967年)、『乱世京都』(上下・1969年)、『江戸と京都』(上下・1970年)、『考証幕末京都四民の生活』(1974年)、『幕末維新全殉難者名鑑』(編・全4巻・1986年)、『近世事件史年表』(編著・1993年/改訂版『江戸10 万日全記録』・2003年)、『維新 京都を救った豪腕知事 槙村正直と町衆たち』(2004年)他多数。

〔転〕編 遊女の生活
第6章 「くるわ」の風俗
遊廓の構成/遊女とその周辺/遊女の一生/遊客の心得と遊興ぶり/遊女心得条々/「くるわ」の行事と慣習/遊里の歌曲と言語
第7章 遊里の服飾
遊女風姿のうつりかわり/遊女の職階制からみた服飾/遊女と遊客の服飾各論/遊客の服装心得
第8章 遊里勘定帳
遊興費のしくみ/近世貨幣制度の成り立ち/各廓別遊興費の内訳/揚代以外にかかる出費の細目/遊女側の収支決算書/「身売り」と「身請け」の手続き
第9章 名を遺した名妓たち
名妓の条件/別格・二代目吉野/名妓列伝/遊女の文才/幕末芸者と志士
〔結〕編 遊里の内幕
第10章 虚飾の世界
美化と蔑視と/花開く島原俳壇/いつわりの世界/遊女の詐術/遊女無残/上淫の美学
附章 男色の世界
男色の歴史/男娼の盛衰