
道祖神塔はいつどこでどのようにして生まれたのか―
全国初期道祖神塔の悉皆調査・研究を踏まえ石塔誕生という道祖神研究史上最大の難問に挑む。
――露座の石仏たちは終始風雨や日光にさらされており、それほど遠くない将来、銘文がまったく読めない石仏たちが頻出することは間違いない。遅きに失した感は否めないけれども、いく百年にもわたって地域の人たちが大切に守り続けてきた石造物の、せめて初期の道祖神塔の銘文だけでも記録として残しておきたい、という思いのもと本書は刊行される。願わくは、写真や拓本で示された銘文が研究者諸兄共通の客観的なデータとして活用され、今後の初期道祖神塔研究発展の一助とならんことを。
「はじめに」より

福田 敏一(ふくだ としかず)
1953年群馬県前橋市生まれ。法政大学大学院修士課程(考古学)修了。
単 書 『新橋駅の考古学』2004年
『新橋駅発掘―考古学からみた近代―』2004年
『方法としての考古学―近代における認識―』2005年
『東京の道祖神塔事典―その全記録と考察―』2022年
編 著 『考古学という現代史―戦後考古学のエポック―』2007年
『考古学という可能性―足場としての近現代―』2008年(以上雄山閣)
論 文 「民俗の変容と地域形成の問題」(東京都埋蔵文化財センター『研究論集』Ⅲ)
「江戸大名屋敷の舟入場」(『考古学ジャーナル』474)
「近世小野路村小島家における炭焼き」(『多摩のあゆみ』第152号)
「雇外国人たちの新橋駅― 文明開化期における日本の鉄道・点描―」
(東京都埋蔵文化財センター『研究論集』XXIX)ほか