宝貝やラピスラズリのような物資だけでなく、馬・車や去勢の風といった複雑なアイディアや技術をともなった事物の伝播を事例に、シルクロードをひらいたといわれる張騫の時代以前の東西交渉の跡を追いながら、世界各地域が孤立することなく補完しあいながら歴史をかさねてきた事実を浮き彫りにする。
川又正智 [カワマタマサノリ] 昭和21(1946)年5月新潟県生。京都大学文学部史学科卒業・同大学院文学研究科博士課程単位取得。国士舘大学文学部教授
第1章 シルクロード以前―文明圏を超えて(東西交渉とは;遠方への意識 ほか)
第2章 張騫鑿空記事の検討―張騫以前にも在った路(張騫実績の背景;匈奴と騎馬遊牧 ほか)
第3章 ラピスラズリの路―遠距離交渉の確認(くりかえされる交易―原料獲得の路;遠方という意識―他世界との交流 ほか)
第4章 運ばれた馬と車―複雑な事物の伝播1(アイディアと発明・技術・デザイン=複雑な事物の伝播;麦―西アジア型農牧複合の伝播 ほか)
第5章 去勢の風は東伝したのか―複雑な事物の伝播2(去勢をめぐる問題点;去勢の目的 ほか)