本書は、地方史研究協議会第六五回(埼玉)大会の成果を公開講演、共通論題研究発表、自由論題研究発表を中心に編集したもので、書名は大会共通論題である「北武蔵の地域形成―水と地形が織りなす歴史像―」とした。また、構成は共通討論における議論に鑑み、「Ⅰ荒川・利根川と地域拠点」「Ⅱ湧水と生産・生業」「Ⅲ領域意識の形勢と展開」として、体系的に熊谷市・行田市の歴史形成を纏めている。
序文 松尾 正人
Ⅰ 荒川・利根川と地域拠点
埼玉地域における最新期の地形・地質環境(堀口萬吉)
古代河川交通と森林開発 (井上尚明)
荒川中流域における中世石塔の展開―一三・一四世紀の板碑を中心として― (村山 卓)
幕末・明治前期の蚕種輸出と生糸改良問題―富岡製糸場と北武蔵―(田村 均)
Ⅱ 湧水と生産・生業
武蔵国熊谷郷の開発と在地領主(大井教寛)
近世荒川扇状地の河川と湧水についてて―忍領の事例を中心に―(原 太平)
北武蔵の酒造業と関東上酒試造(細野健太郎)
低地農村地帯における内水面漁撈―溜井、堀上田を中心に―(内田 幸彦)
Ⅲ 領域意識の形成と展開
戦国期北武蔵地域の交通―忍領を中心として―(松村憲治)
近世前期、忍藩領の形成と在地支配(澤村怜薫)
近世後期、熊谷地域における改革組合村―武蔵国旛羅郡下奈良村吉田市右衛門と領主層・豪農層との関係性を中心に―(藤井明広)
明治四三年大水害と地域社会―北埼玉郡の被害・応急対応・影響を中心に―(松本洋幸)
地域利害と政治運動―埼玉県成立期の地域問題―(渡辺隆喜)
第六五回(埼玉)大会の記録 大会成果刊行特別委員会
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