東国各地の終末期古墳の特徴や動向から、七世紀史の実相を描く。
古墳時代から律令時代への社会変化の波を、地方はどのように受け止めたのか。横穴式石室を精査・検討し、東国古墳社会の終焉を日本列島のなかに位置づける。
著者紹介
草野潤平(くさの じゅんぺい)
1979 年 東京都昭島市生まれ。
2003 年 明治大学文学部史学地理学科考古学専攻 卒業。
2005 年 明治大学大学院文学研究科史学専攻考古学専修 博士前期課程修了。
2013 年 明治大学大学院文学研究科史学専攻考古学専修 博士後期課程修了、博士(史学)。
2008・2009 年 明治大学文学部専任助手を経て、2010 年より、財団法人山形県埋蔵文化財センター調査研究員。
現在、公益財団法人山形県埋蔵文化財センター主任調査研究員。
〈主要編著書・論文〉
「複室構造胴張り形切石石室の動態」『東京考古』第24 号、東京考古談話会、2006 年
「群馬県における截石切組積石室の再検討」『群馬考古学手帳』17、群馬土器観会、2007 年
「下野における後期・終末期古墳の地域設定と動向」佐々木憲一編『関東の後期古墳群』六一書房(考古学リーダー12)、2007 年
「埼玉県における切石積石室の地域相」『埼玉考古』第43 号、埼玉考古学会、2008 年
「千葉県竜角寺岩屋古墳の石室系譜」『地域と文化の考古学Ⅱ』六一書房、2008 年
『信濃大室積石塚古墳群の研究Ⅲ』六一書房、2008 年(共編著)
「山形県における中期・後期古墳群の特質」『やまがたの古墳時代』山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館、2011 年
「切石積の技術系譜」『駿台史学』第150 号、駿台史学会、2014 年
「陸奥・出羽の古墳編年」『地域編年から考える』東北・関東前方後円墳研究会第20 回大会、2015 年(共著)
「横穴式石室からみた東北・関東の交流」菊地芳朗編『阿武隈川流域における古墳時代首長層の動向把握のための基礎的研究』平成25 ~ 27 年度科学研究費補助金基盤研究(c)研究成果報告書、福島大学行政政策学類、2015 年
序 章 古墳消滅過程における地域社会研究の必要性
第1 節 本書の目的と構成
第2 節 用語の定義
第1 章 研究史と問題の所在
第1 節 東国七世紀史の概観
第2 節 終末期古墳における横穴式石室研究の意義
第3 節 関東地方における後期・終末期古墳研究の現状と課題
第2 章 前史としての後期古墳の動向
第1 節 片袖形石室の地域的展開
第2 節 複室構造の受容・成立過程と地域性
第3 章 有力古墳の地域色と動向
第1 節 上野地域 ―いわゆる「截石切組積石室」の再検討―
第2 節 下野地域 ―切石組石室の成立と展開―
第3 節 常陸地域 ―片岩板石組石室と凝灰岩切石組石室の展開―
第4 節 北武蔵地域 ―切石積石室の地域相―
第5 節 南武蔵地域 ―複室構造胴張り石室の動態―
第6 節 下総地域 ―扁平切石積石室の成立と展開―
第7 節 上総地域 ―狭長プラン石室の地域性―
第4 章 横穴式石室からみた関東地方の地域間関係
第1 節 南関東における無袖形石室の地域間交流
第2 節 類似石室の構築と非隣接地域間の関係性
第5 章 7 世紀における地域首長墓の特質
第1 節 畿内系墓室様式の採用と初期寺院造営
第2 節 地域首長墓における在地性の発露
第3 節 結 語 ―7 世紀中葉前後の古墳と寺院―
終 章 関東地方における終末期古墳の築造と終焉
第1 節 横穴式石室からみた関東地方の地域性
第2 節 結 語 ―日本列島のなかの東国古墳の終焉―