最近発掘され注目を集めている、古墳時代前期の入の沢遺跡の調査成果から、古墳文化と続縄文文化の境界の様相を考える。
緩やかな交流関係とは異なる、軋轢の様相が浮かび上がり、一様ではなかった北縁の状況がわかってきた。シンポジウムの成果をまとめる。
辻 秀人(つじ ひでと)
東北学院大学文学部教授、東北学院大学博物館館長
1950 年北海道生まれ。東北大学文学部卒業、考古学専攻。東北大学大学院文学研究科博士課程前期修了、文学修士。
東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。
主要著書・論文
「東北古墳時代の画期について(その1)―中期後半の画期とその意義―」『福島県立博物館紀要』第3 号、1989 年
「東北古墳時代の画期について(その2)― 7 世紀史の理解をめざして―」『伊東信雄先生追悼考古学古代史論攷』1990 年
「陸奥国の古瓦の系譜」『福島県立博物館紀要』第6 号、1992 年
「蝦夷と呼ばれた社会― 東北北部社会の形成と交流―」『古代蝦夷の世界と交流』古代王権と交流1、名著出版、1996 年
『古墳時代の考古学』シンポジウム日本の考古学4、学生社、1998 年(共著)
『ふくしまの古墳時代』歴史春秋社、2003 年
『東北古墳研究の原点 会津大塚山古墳』新泉社、2006 年
『博物館危機の時代』雄山閣、2012 年(編著)
第一章 入の沢遺跡を知る
入の沢遺跡の調査成果(村上裕次)
銅鏡から見た入の沢遺跡と東北の古墳時代(森下章司)
玉類の流通から見た古墳時代前期の東北地方(大賀克彦)
第二章 古墳時代社会のなかに入の沢遺跡を位置付ける
古墳時代前期の倭国北縁の社会―宮城県北部の様相―(髙橋誠明)
「入の沢遺跡」の頃の東北北部社会(八木光則)
東北地方の古墳時代の始まり(辻 秀人)
ヤマト王権の動向と東北の古墳時代社会(和田晴吾)
第三章 討論 入の沢遺跡で何が起きたのか
司 会:辻 秀人
パネラー:和田晴吾・八木光則・髙橋誠明・大賀克彦・森下章司・村上裕次