前方後円墳を中心とした考古資料と、『日本書紀』や金石文などの文字史料とから、5世紀の王権の実像を探る。<中期古墳時代像の再構築>のための多角的検討をとおして、古墳時代政治構造の一端を追究する。
広瀬和雄【ひろせかずお】
国立歴史民俗博物館名誉教授
1947年京都市生まれ。大阪府教育委員会、大阪府立弥生文化博物館勤務ののち、奈良女子大学大学院教授。
主な著書に、『古墳時代像を再考する』(同成社)、『カミ観念と古代国家』(角川叢書)、『前方後円墳の世界』(岩波新書)などがある。
総論 古墳時代中期の前方後円墳(広瀬和雄)
第一章 古墳時代中期の日本列島
九 州( 重藤輝行)
四国・山陰・山陽―大形前方後円墳の築造動向から―(大久保徹也)
畿内とその周辺地域(細川修平)
東海・中部・北陸(中井正幸)
東 国( 広瀬和雄)
第二章 中期古墳と東アジアの動向
倭の五王の時代の国際交流(東 潮)
兵庫県市川流域における渡来文化(朴 天秀)
中期古墳と鏡(上野祥史)
古墳時代中期の武器・武具生産(橋本達也)
祭祀の意味と管掌者―五世紀の祭祀遺跡と『古語拾遺』「秦氏・大蔵」伝承―(笹生 衛)
前方後円墳の巨大性―日本列島の墳墓はなぜ大きいのか?―(松木武彦)
第三章 文字史料から描く五世紀の大和政権
倭王武上表文の真意―いわゆる「高句麗征討計画」を中心に―(熊谷公男)
「治天下大王」の支配観(仁藤敦史)
倭王権の渡来人政策(田中史生)