畿内とは何か。
畿内の様相を古墳時代から古代にかけて、通観する初めてのシリーズ。
近年、古代社会の地域史的研究が各地で推進されるなか、かえって畿内地域の特質が見えにくくなっているのではないか。古代列島社会において畿内地域が果たした役割は何であったか、その特質をいかに評価すべきか。本講座で改めて「畿内とは何か」を描く。
広瀬和雄(ひろせ かずお)
1947 年京都市生まれ
大阪府教育委員会、大阪府立弥生文化博物館勤務ののち、奈良女子大学大学院教授
現在、国立歴史民俗博物館名誉教授
〈主な著書〉『前方後円墳国家』(角川選書、2003 年、中公文庫、2017 年)、『古墳時代政治構造の研究』(塙書房、2007 年)、『前方後円墳の世界』(岩波新書、2010 年)、『カミ観念と古代国家』(角川叢書、2010 年)
山中 章(やまなか あきら)
1948 年京都市生まれ
現在、三重大学名誉教授
〈主な著書〉
『日本の古代遺跡28 京都Ⅱ』(共著、保育社、1992 年)、『日本古代都城の研究』(柏書房、1997 年)、『長岡京研究序説』(塙書房、2001 年)、『平安京とその時代』(編著、思文閣出版、2009 年)
吉川真司(よしかわ しんじ)
196 0 年奈良県生まれ
京都大学助手、同助教授(准教授)を経て、現在、京都大学教授
〈主な著書〉『律令官僚制の研究』(塙書房、1998 年)、『シリーズ日本古代史3 飛鳥の都』(岩波新書、2011 年)、『天皇の歴史2 聖武天皇と仏都平城京』(講談社学術文庫、2018 年)
総 説(広瀬和雄・山中 章・吉川真司)
序
一 畿内制と畿内地域
二 畿内の成立と展開
三 考古学からみた令制畿内
四 本講座の構成
第1章 畿内という枠組み
古代畿内の地理的環境・(上杉和央)
はじめに
一 水― 河川からみた畿内―
二 木― 植生からみた畿内―
おわりに
畿内制とウチツクニ(西本昌弘)
はじめに
一 中国の畿内制と日本の畿内制
二 畿内政権論とウチツクニ
三 大化の畿内制の四至
おわりに
畿内と近国・御食国(今津勝紀)
はじめに
一 雑供戸と御厨
二 御食国の贄
三 ウチツクニとトツクニのミタ
おわりに
畿内政権論(大隅清陽)
一 畿内政権論と律令貴族論
二 氏族合議制と太政官
三 「五位以上集団」への着目
四 大夫合議の本質をめぐって
第2章 支配層の集住
大王・天皇とその一族(告井幸男)
はじめに
一 欠史八代
二 前方後円墳体制時代
三 倭の五王時代
四 飛鳥時代前後
畿内の古代豪族(告井幸男)
はじめに
一 和泉国
二 河内国
三 摂津国
四 山城国
五 大和国
おわりに
律令官人群の形成(虎尾達哉)
一 律令官人と法官・式部省
二 律令官人群の形成過程
三 律令官人をめぐる余論
長屋王家と畿内(森 公章)
はじめに
一 御田・御薗の所在地と経営
二 在地豪族との関係
むすびにかえて
第3章 畿内の統治
京・畿内の人民統治(大津 透)
はじめに
一 人民の掌握― 京畿計帳からみる―
二 人民の負担― 調制とその周辺―
おわりに
畿内の国郡司と受領(小原嘉記)
はじめに― 畿内の国と郡―
一 郡司制度と畿内政権論
二 山城遷都と畿内地域
三 良吏から受領へ
畿内の国府・国庁(古閑正浩)
はじめに
一 第三次山城国府と南栗ヶ塚遺跡―「長岡京南」をめぐって―
二 第四次山城国府と山崎
三 国府・国司・都城制
まとめ
畿内の郡家(青木 敬)
一 畿内の郡家調査・研究の現状
二 畿内における郡家の実相
三 畿内における郡家研究の今後― まとめに代えて―
第4章 東アジアの畿内制
古代中国の畿内制(吉田 歓)
はじめに
一 研究の展開
二 中国の世界観と地域区分
三 畿内制の再認識
四 畿内の意味
おわりに
新羅の畿内制(田中俊明)
はじめに
一 新羅末の「王畿」史料
二 「畿停」の検討
三 新羅王畿の空間的範囲
四 新羅における畿内制の成立
おわりに
コラム
隠横河(伊藤文彦)
紀伊兄山(冨加見泰彦)
赤石櫛淵(岸本道昭)
狭狭波合坂山(柏田有香)