野崎洋光氏 ご推薦!
大切な食を大事にするには、知識と知恵が必要です。
やる気はあるけど突破口がみえず先に進まぬことがある。
知りたいけど知る知識が無いため先に進めない。
過去があるから今がある、未来がある。
こんな本が欲しかった。
――分とく山 総料理長 野崎洋光
日本食を知りたい!
本書は、「ハレとケ」の献立と配膳などを文献から紐解き、日本食文化の成り立ちを解説するものです。
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、また「日本のおもてなし」の感じさせる食文化として新たな関心が高まっています。
風味、色彩の豊かさ、食しても目にしても季節を感じる日本食の成り立ち。
洗練されてきた過程。
「五感で感じる」ことを特長とする日本人が創り出してきた繊細で豊かな広がり。
こうしたことが、特別な日の食にも、日常の食にも、実は息づいていることを、文献を紡ぐことから明らかにしていきます。
また、日本食のベースになる出汁そのものへ注目されることから、『正倉院文書』(701~781年)から『野崎洋光が考える 美味しい法則』(2016年)までの文献41点から、その変遷を見ていきます。
出汁への考え、取り方、利用方法などを振り返りながら、「日本の味」となった理由を解説していきます。
過去から今へ連綿と続いてきた日本食を実感できる「ご馳走の文化史」です。
松本仲子(まつもとなかこ)
1936年生まれ。
聖徳大学大学院人間栄養学研究科兼任講師。
1974から2006年まで、女子栄養大学、大学院において「調理学」を担当。2006から2012年まで、桐生大学において「調理学」「食文化論」を担当。
1999年より、聖徳大学大学院人間栄養学研究科兼任講師として「食文化特論」を担当して現在にいたる。
<主要論文>
『大名の日常食 壬生藩主の御献立帳(文化二年)から』右田節子、湯川晴美共著/國學院大学栃木短期大學紀要第三五号(2001年)/『市販だしの素の表示成分と嗜好』工藤貴子共著 日本食生活学会誌二十五巻(2015年)。
はじめに
「ハレ」の日の食事
そもそも「ハレ」とは
日本の饗宴のかたち
高い階層の饗応
饗宴の進行
本膳について
献立を読む
宴会の条件
日本の饗宴の変化
本膳形式の変化―ご飯主導から飲酒主導へ―
本膳の形式から会席の形式へ
会席と懐石の基本的な形式の相違
近代―現在の宴席
本膳の形式
膳の種類
膳の据え方
配膳
膳数と汁数
香物の扱い
飯、酒、茶の区切り
「ケ」の献立―日本人の日常の食事―
日常故に記録が少ない「ケ」の食事
大名の食事―『壬生藩主文化二年御献立帳』から―
献立構成―『文化二年御献立帳』(文化二(一八〇五)年)を例に―
朝、夕御膳、御夜食の品数
汁の実に使用された食材
香物の種類
主菜の食材
下級武士の食事
実例にみる食の近代化
紡績会社寄宿舎の食事
養育院の食事の記録
植民地における『京城師範付属小学校の給食の献立』
文献にみる食の近代化
家庭料理書にみる献立
女子高等師範学校調理指導書に掲出の献立
栄養と調理科学に基づいた調理書『基礎から応用まで―料理』に掲出の献立
『栄養と料理』に見る献立の変化
「ケ」の食事のまとめ
コラム 香物からサラダへ
料理書に見る出汁の変遷
『正倉院文書』及び木簡
『延喜式』
『倭名類聚抄』
『江家次第』
『厨事類記』
『四條流庖丁書』奥書
『山内料理書』
『食物服用之巻』
『武家調味故実』
『大草殿より相伝の聞書』
『庖丁聞書』
『南蛮料理書』
『邦訳日葡辞書』
『りうりの書』
『料理物語』
『料理塩梅集』
『古今料理集』
『合類日用料理指南抄』
『料理網目調味抄』
『伝演味玄集』
『黒白精味集』
『料理早指南』
『素人庖丁』
『新撰庖丁梯』
『精進献立集』
『料理通』
『魚類精進 早見献立帳』
『年中番菜録』
『四季献立 会席料理秘嚢抄』
『治庖会 日本料理法』
『宇多式 和洋家庭料理法』
『料理の拵へ方五百種』
『家庭料理法』
『食物調理指導書』
『日本料理精説』
『日本料理独習書』
『日本料理』
『料理 考え方と作り方』
『現代日本料理法総覧』
『上田フサのおそうざい手ほどき』
『基本調理テキスト』
『野崎洋光が考える 美味しい法則』
まとめ
コラム 羹 ―あつもの―
参考文献
おわりに