日本刀鑑賞の必携の書、待望の復刻。
――気高く威ある精神、日本人の清明なる心を端的に表したものが刀剣であると私は思う。
日本人が長い伝統のうちにつくり上げてきた刀剣の技と美、武人の美的たしなみとしての鑑刀の習慣はけっして忘れてよいものではない。千年に及ぶ歳月を絶間なく保存しつづけた刀剣の魅力を大いに理解していただきたいと希う次第である。(「はじめに」より)
刀剣の刀紋を特殊撮影し、刀の見方を具体的に図示。基礎となる鑑定と保存、歴史的背景等を 分かり易く説明するほか、刀匠・研師など現場の人々の専門知識も満載。
※本書は、2000 年5 月に至文堂より刊行された『日本刀の鑑賞基礎知識』を底本に、紙面を刷新し刊行するものです。
【著者紹介】
小笠原信夫(おがさわらのぶお)
1939年、東京に生まれる。
佐藤貫一(寒山)文学博士に刀剣の指導を受ける。
1962年、早稲田大学政治経済学部卒業。
同年、財団法人日本美術刀剣保存協会勤務。
1966年、東京国立博物館刀剣室勤務、東京国立博物館工芸課長、文部技官等を歴任。
2018年に逝去(享年79)。
【鑑賞のための基礎知識】
刀の美をどのようにとらえるか
刀剣を簡単に知るには
刃文の見方13例
用語解説
太刀、脇指などの種類と呼び名
槍と薙刀のさまざま
新々刀の特色
信仰の中の刀剣
日本刀と西欧刀剣の相違
【製作に関する基礎知識】
沸出来がよいか、匂出来がよいか
対談 鉄との格闘、刀匠の苦心 刀匠 吉原義人×小笠原信夫
研磨による刀剣の魅力
対談 刀剣の持ち味をいかす研ぎとは 研師 藤代興里×小笠原信夫
刀装のファッション
対談 刀剣を飾る 鞘師 高山一之×小笠原信夫
鐔の役割と歴史
三所物の実用性は何か
【鑑定と保存の基礎知識】
刀剣の欠点に関する注意―鑑定のための九つのポイント―
鑑定の歴史
刀の保存と取り扱い
刀装〈拵〉の保存と修理
刀箱・刀筒・刀袋
【武将と名刀】
対談 切れ味を試す 作家 津本 陽×小笠原信夫
名刀とは何か―日本刀の特質―
雪の叢消え―正宗に関する問題点―
名刀物語1 酒呑童子伝説の刀
名刀物語2 佐々木伊予守、一期一腰の刀
名刀物語3 織田信長、圧し切りの刀
名刀物語4 徳川家康の愛刀、日光助真
名刀物語5 石田三成の愛刀、石田切込正宗
変り兜にみる戦国武士の心意気
【各時代の代表刀剣】
上古・平安時代の刀剣
鎌倉時代の刀剣
南北朝時代の刀剣
室町時代の刀剣
桃山時代の刀剣
江戸時代の刀剣
図版目録